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【小笠原】海に眠る戦跡に思いを馳せる小笠原の沈船ダイビング

最終更新日 2022-05-30

東京から1000km南にある小笠原諸島は、第二次世界大戦時に日本の領土を守る重要拠点となり、映画「硫黄島からの手紙」で激戦地として有名になった硫黄島も小笠原諸島の一部です。激戦地となった硫黄島に物資を送るため、多くの船が小笠原に送られ、そして米軍の空襲を受け、沈みました。有人島であり戦地となった父島、母島には機関銃やトーチカ(コンクリートで作られた防空壕)などの戦跡が数多く残っており、海には日米両軍の多くの戦艦や飛行機が沈んでいます。流れが速い場所や深いところに沈んでいるものもありますが、スキューバダイビングで見ることのできる40mまでの水深に沈んでいるものや海面に出るほど浅いところに沈んでいる船もあり、シュノーケリングで見ることができる場所もあります。

母島の戦跡「機関銃」

Photo By Kanon

ダイビングで潜れる小笠原の沈船ポイント

小笠原諸島近海に沈んでいる船や飛行機はたくさんあり、少なくとも100隻以上が沈んでいるといわれています。沈没船の中には、記録がなく、沈没船の名称や用途が分かっていないものもたくさんあり、横倒しになっているものは「横沈」、バラバラになってしまっているものは「バラ沈」、扇浦に沈んでいるから「扇浦の沈船」などその船の状態や沈んでいる場所によって通称名で呼ばれているものが多いです。ダイビングポイントとしても通称で呼ばれることが多いので、通称で紹介しますが、元々の名称がわかっている船は、その名称も合わせて紹介します。スキューバダイビングで見られるポイントだけではなく、シュノーケリングで見られるポイントも紹介します。

沈船ポイント①横沈「第八雲洋丸」

横沈

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父島の近くにある無人島・兄島にある滝ノ浦湾に横倒しに沈んでいる大きな船です。「第八雲洋丸」という全長75mほどの大きな船で、圧巻の迫力です「第八雲洋丸」は、一般雑用船として大阪を出発し、1945年7月4日に米艦載機による空爆により沈没しました。小魚がたくさんついていて、光に当たるととてもきれいで、きらきらと輝いています。きれいな模様のアサヒハナゴイがいたことがありました。

アサヒハナゴイ

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沈船ポイント②三畳一間

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沈没船のほんの一部が残っているポイントです。三畳程度の大きさのため、三畳一間と呼ばれています。横沈の近くにあり、一緒にダイブすることもあります。三畳程度の鉄板の下に入り込むことができ、そこには色とりどりの小魚が住んでいます。下が砂地になっており、狭いので、砂煙を起こさないように潜るのにはすこしスキルが要ります。

沈船ポイント③シロワニが群れる「駆潜艇50号」

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「駆潜艇50号」は、シロワニがよくみられる製氷海岸に沈んでいる船で、シロワニと沈船のかっこいいロマンの塊のような写真が撮れるダイビングスポットとしてダイバーに人気です。シロワニは、小笠原以外ではダイビング中になかなか会えるサメではなく、世界中からこのシロワニに会いにダイバーが来ます。

シロワニは、鋭い歯を持ち、顔も怖く、大型なので、危険なサメだと思われがちなのですが、歯が細いため、あまり大きな物を食いちぎることができないため、とても大人しい安全なサメです。だからと言ってちょっかいを出すと、反撃してくる可能性はありますが。製氷海岸は、枝サンゴがたくさんある場所なのですが、沈没船のあるポイントは、砂地のため、濁っていることが多く、船の全体がみえることはなかなかないのですが、濁っている海の中からシロワニがぬっと現れるのは、襲ってこないとわかっていても少し恐怖を覚えます。水深が40m近く暗いこともあり船の全体が見通せないのも冒険心をくすぐります。

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ここに沈んだ駆潜艇は、潜水艦の動きを探るためにソナーを備え、潜航中の敵潜水艦を攻撃するための特殊潜航艇「甲標的」を曳航していました。1944年、特殊潜航艇を曵航中に米軍に追撃され、沈没しました。船の全体の形はわりかし残っていますが、船の中央部分は攻撃を受けたためか、激しく損傷している部分があります。沈没時に曳航していた特殊潜航艇「甲標的」は、駆潜艇50号の数十m後ろに沈んでいます。特殊潜航艇「甲標的」は、沈没時二つの魚雷を搭載していました。

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小笠原名物のラム酒を小笠原の海で海底熟成させた「Mother」というラム酒があり、お土産として大人気で、概ね母島の海で作られています。「駆潜艇50号」の船首部分に酒瓶が置いてあることがあり、中身のお酒を海底で熟成させているのだとか。この酒瓶の置いてある船首に立って両手を広げて、タイタニックのあの有名なシーンを再現してくれるガイドもいます。ぜひリクエストしてみて!

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沈船ポイント④バラ沈「辰栄丸」

兄島の近くの滝ノ浦湾にあり、貨物船がバラバラになって沈んでいます。エンジンとボイラーの形が残っていたため、「辰栄丸」であると推定されています。「辰栄丸」のタイプとしては、横沈(第八雲洋丸)と同じで、戦時標準船です。湾になっているため、波が穏やかなことが多いので、ダイビング中の昼休憩として停泊することも多く、体験ダイビングでも使うことのあるポイントです。

水深15mと少し深いのですが、シュノーケリングで楽しむことも出来ます。大きなオオモンカエルアンコウが住み着いていることがあります。

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沈船ポイント⑤エビ丸

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父島二見湾境浦沖の水底35mにある鉄鋼船で、未だに船名は明らかになっておらず、小笠原の固有種であるアカイセエビやセミエビなどがたくさん生息していることから通称「エビ丸」と呼ばれています。戦後のアメリカ施政下の時に沈められた船ともいわれています。船は立った状態で沈んでおり、船首にはマストが真っすぐ上を向いた状態で残っており、船自体も見ごたえがあります。「エビ丸」のポイントは、扇浦の沖合にある隠しブイで係留するので、ロープ潜航ができます。

沈船ポイント⑥中沈「昭瑞丸」

水深30m程度にあり、他の沈船に比べて中くらいの深度にあるため、「中沈(なかちん)」と呼ばれています。元々は「昭瑞丸(しょうずいまる)」という船で、2719tで97mという滝ノ浦湾に沈んでいる船の中では最大で、船体はほとんど崩れているものの、ほとんどそのままの形で沈んでいます。冬になるとカンパチが回遊してくるポイントです。

沈船ポイント⑦母島「蓬莱根」の沈船

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母島にも沈没船が17隻ほどありますが、そのほとんどが木製の小型船です。母島の南にある蓬莱根というポイントにも沈船があります。都道最南端には、遊歩道があり、そこから南崎や小富士、蓬莱根などの観光スポットにいくことができます。

遊歩道を30分ほど歩いた先に蓬莱根があるのですが、シュノーケリングの三点セットを持って蓬莱根まで歩くのはなかなかに大変です。蓬莱根のビーチから右のほうに泳いでいくと、船の大きなエンジンが落ちているのをみることができます。蓬莱根のポイントは、砂地になっており、根魚もたくさんいるため、とてもきれいです。冬は、ザトウクジラの通り道になっており、ダイビング中にザトウクジラに会える確率がとても高いと日本全国からダイバーが潜りに来ます。

沈船ポイント⑧ゼロ戦

小笠原の南にある洲崎の北側の水深32~35mに翼が分断された状態で沈んでいる日本の軍用機です。残っている備え付けの機関銃から、三菱製の「零戦五二型乙」通称「ゼロ戦」や「ゼロ」と推定されています。第二次世界大戦で「カミカゼ特攻隊」と恐れられた日本製の高性能の軽量飛行機です。

ジブリ映画の「風立ちぬ」では、ゼロ戦の開発者が主人公となり、百田尚樹の小説「永遠のゼロ」でもゼロ戦のパイロットが主人公となっていることでも知られています。第二御盾隊で硫黄島に特攻に向かった内の一機で、洲崎に日本軍の飛行場があったことから、離陸に失敗した機体であると言われています。

沈船ポイント⑪深沈「志摩丸」

深沈は、水深40m以上の深いところに沈んでいるため、「深沈」と呼ばれています。元々は「志摩丸」という82mの貨物船でした。船尾には船尾楼が残っており、当時飲まれていたビール瓶なども散乱して残されています。深いところに沈んだため、当時積み荷を回収できず、船倉内には、多数の砲弾や航空爆弾、金網などの搭載されていた装備品もたくさん散らばっています。

沈船ポイント⑨浅沈「大功丸」

浅沈は、8mくらいの他の沈没船と比べて浅い水深に沈んでいるため、浅沈と呼ばれています。滝ノ浦湾に沈んでいる船の中では、唯一のディーゼルエンジンです。

沈船ポイント⑩大美丸

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「大美丸」と言われているこの船は、大阪商船の貨物船で、船名が分かる前は「カレ沈」と呼ばれていました。豆腐岩の右側沖合いに沈んでいます。横向きに鎮座しており全長は53mあり、側面が大破しています。陸軍徴用船として使われていましたが、1945年2月7日の米軍の空爆により沈没しました。通路横に柵がないため、船体に潜り込むことができます。

シュノーケリングで潜れる小笠原の沈船ポイント

沈船ポイント⑪海面から出てる朽ちゆく「濱江丸」

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境浦海岸に沈んでいる大きな蒸気タービン船の貨物船で、「ひんこうまる」と読みます。海上に出るほど浅いところに沈んでおり、ドローンで上から撮ると、船の形がはっきりと見てとれます。1944年6月に空襲を受け、境浦海岸で修理を受けていましたが、修理中に再び空襲を受け、放棄されました。町から山の方へ行って、一つ目のトンネルを越えてすぐ右手の海に「濱江丸」が見えてきます。境浦海岸から急な坂を降りていくと、レストハウスの前20m程度のところに沈没船が頭を出しているのが見えます。水深6m程度の浅いところに沈んでおり、海面にも出ているのでシュノーケリング初心者の人でもシュノーケリングを楽しむことができます。

また、シュノーケリングに慣れている人なら船の間を潜ってくぐってみるのもスリルがあり楽しいです。昔から小笠原に住んでいる人の話では、昔はもっと船の形がはっきりと残っており、台風が来るたびにだんだんと風化し、船の形が崩れてしまってきているそうです。お土産屋さんではまだ形が残っている「濱江丸」の絵葉書が売られています。

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また、海岸沿いに左手の方へ行くと、流木でできたブランコがあり、そこで写真を撮るととてもフォトジェニックです。満潮の時にいくとかなり水位が上がっているので、泳がないとブランコに辿り着けない時もあります。干潮時だと簡単にいくことができます。

沈船ポイント⑫扇浦の沈船「第一号型輸送艦4号」

シュノーケリングで見れる沈没船です。扇浦海岸にあるレストハウスから要岩という岩の方に泳いでいくと「第一号型輸送艦4号」という船が沈んでいます。この船の種類は、小笠原に二隻沈んでいます。水深10m程度で、光の差し込みがとてもきれいで、小魚がたくさん泳いでおり、まるで天国のようです。

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扇浦に沈んでいる「第一号型輸送艦4号」は、船首が良く残っており、崩れた船体の上にはセメント袋が残り、船内には当時使われていたのであろうお皿などの積荷が残っています。扇浦のレストハウスから200mくらいのところに頭を出している要岩の近くにもバラバラになっている船が沈んでおり、アオブダイやイスズミなどの少し大きい魚の群れが泳いでいることが多いです。

 

兄島の滝ノ浦湾に沈船が多い理由

紹介した沈船が小笠原諸島近海に沈んでいる沈船のすべてではないのですが、兄島の滝ノ浦湾に多くの沈船が沈んでいることが分かったかと思います。これは、父島の空襲に備え、多くの船が兄島滝ノ浦湾に退避していたためです。しかし、昭和20年7月4日に米軍の空襲によって、避難していた「大功丸(浅沈)」、「志摩丸(深沈)」、「第八雲洋丸(横沈)」、「辰栄丸(バラ沈)」などの6隻が沈没しました。多くの船は、激戦地となった硫黄島への物資輸送船として使われていました。

小笠原諸島でレックダイビングするなら「FISHEYE」

 

父島にはたくさんのダイビングショップがあり、どこのショップで潜ろうか迷うかと思うのですが、レックダイビングをメインに潜りたいのであれば、「FISHEYE」がとてもおすすめです。小笠原諸島に沈む沈船の調査を請け負い、小笠原で一番沈船に詳しいショップです。小笠原の沈船に関する調査書などもほとんどが「FISHEYE」が手掛けています。ただ、「FISHEYE」で潜るには、300本以上のダイビング経験本数があることが望ましいと表記されていますので、ご注意ください。

まとめ

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沈没船でシュノーケリングができるレックダイビングができる場所は世界中にたくさんありますが、これほど沈没船や飛行機が沈んでおり、シュノーケリングやダイビングで楽しめる場所は、日本では小笠原しかありません。その一つ一つに歴史があり、ただ楽しむだけでなく、歴史や戦争、平和についても考えさせられます。小笠原では、父島と母島の陸にもたくさんの戦跡が残っています。飛行機の残骸や日本軍が使っていた車や探照灯、そして弾痕など。ダイビングだけでなく、興味がある人は陸の戦跡ツアーもおすすめです。

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