最終更新日 2022-07-01
「サステナブル旅」という言葉を聞いたことはありますか?「サステナブル旅」とは、単なる「エコ」にとどまらず、その土地の伝統文化やコミュニティを尊重する旅行のこと。といっても、難しく考える必要はありません。エコに取り組みつつ、インテリアに地元の伝統工芸を採り入れているホテルに泊まるだけでも、サステナブル旅の第一歩になります。
2020年8月に誕生した「ハイアット セントリック 金沢」もそんな宿泊施設のひとつ。いるだけでワクワクするアートな空間で、サステナブル旅をはじめてみませんか。
記事の目次
「サステナブル旅」とは


最近、「SGDs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」や「エシカル」との関連で注目されているのが「サステナブル」というキーワード。旅行においても「サステナビリティ」という概念が広まってきていて、「サステナブル旅」への注目が高まっています。
「サステナブル旅」とは、観光地がその土地本来の姿を保つことができるよう、自然環境や地域の歴史、その土地の伝統文化などに配慮した持続可能な旅行スタイルのこと。


マイカーのかわりに公共交通機関を利用する、マイボトルを持参してプラスチックゴミを削減するなどの「エコ」な取り組みはもちろんのこと、その土地の自然や伝統文化について学ぶ、地元の食材を使った食事や伝統工芸品を選ぶなど、旅を愛する私たち一人ひとりにできる「サステナブル」な取り組みはたくさんあります。
環境に配慮し、現地の伝統工芸品をインテリアに採用しているホテルに宿泊するのもサステナブル旅の選択肢のひとつ。そこで、実際にサステナブルな旅が実践できるライフスタイルホテル「ハイアット セントリック 金沢」をご紹介しましょう。
「ハイアット セントリック 金沢」とは
「ハイアット セントリック 金沢」は世界各国でホテルを運営するハイアットが展開するライフスタイル ホテル。
それぞれに個性あるブランドのホテルが国内にも多数ありますが、なかでも「ハイアット セントリック」は2015年に北米で誕生した比較的新しいブランドで、好奇心旺盛な旅行者が街の魅力を縦横無尽に体験できるライフスタイルホテルの位置づけ。日本では、アジア1 号店として2018年1月にオープンした「ハイアット セントリック 銀座 東京」と、ここ金沢の2軒のみです(2021年10月現在)。


2020年8月に金沢駅金沢港口(西口)にオープンした「ハイアット セントリック 金沢」は、知らなかった金沢の魅力が発見できるモダンでスタイリッシュなホテル。お隣に同時オープンした中長期滞在型ホテル「ハイアット ハウス 金沢」とともに、西口の新たなランドマークとなっています。
ハイアット セントリック 金沢の最大の特徴のひとつが、館内の随所に散りばめられたアート。地元金沢の伝統工芸や金沢らしいモチーフをふんだんに採り入れつつも、モダンに昇華させており、館全体がまるで美術館のよう。ただそこにいるだけでワクワクするような体験が待っています。


アクセスは金沢駅金沢港口(西口)から徒歩1分ほど。西口を出るとすぐ目の前にハイアット セントリック 金沢とハイアット ハウス 金沢が並んでいるのが見えるので、迷うことはありません。
100点以上のアートを配した空間


ハイアット セントリック 金沢は、館内が100点以上のアート作品で彩られており、その大部分は地元金沢ゆかりの作家が手がけたもの。昔ながらの伝統工芸品をそのまま持ってくるのではなく、金沢の伝統的な色彩やモチーフにモダンなアレンジを加えたり、廃材を取り入れたりと、伝統工芸の新たな魅力を引き出した結果、伝統と革新の両面が感じられる唯一無二の空間が誕生しました。


ハイアット セントリック 金沢の象徴ともいえる存在のアートが、1階の正面玄関を彩る松。正面玄関のドアが開いた瞬間、視界いっぱいに鮮烈なブルーとゴールドのコントラストが飛び込んできます。これは、⼤森慶宣氏の「Blue Rhythm」と小沢敦志氏の「野鍛治の門冠」という別々の作品が合体したアート作品で、黄金の松はスパナやハサミといった道具類の金属をたたいて松の形を作ったもの。表面を覆うのは本物の金箔です。
これを見るだけでも、ハイアット セントリック 金沢に散りばめられたアートが「普通の美術品」ではないことがわかりますね。


松のインパクトに気を取られて見落としがちですが、正面玄関の「HYATT CENTRIC KANAZAWA」の文字の上にあるオブジェにもご注目。これ、何に見えますか?
ぱっと見ただけではなかなかわかりにくいのですが、実は「笛」なんです。金沢駅といえば東口の鼓門(つづみもん)が有名。鼓門の「鼓」とこの「笛」を対にして、能楽の合奏の一種である「一調一管(いっちょういっかん)」を表しているのです。見過ごしてしまいそうなところにこんなストーリーが隠れているなんて…これだからライフスタイルホテルは面白いんですよね。


1階のエスカレーター前にある加賀獅子舞は、試し彫りの姿をそのままに。


3階のエレベーター横にあるアートは、職人さんが金箔を打つ際に使用する革製の用具を使ったアート。


各階のエレベーター前にあるアートも、漆塗りの工程からアイデアが生まれ、一つの作品となったものです。
ハイアット セントリック 金沢では、捨ててしまうような廃材や、試し彫り・試し塗りといった制作の過程もアートに昇華して展示するなど、既成概念にとらわれない伝統工芸の新しい楽しみ方を提案しているんです。これもまた、「リサイクルアート」という形でのサステナビリティではないでしょうか。




3階にあるロビーエリアも金沢らしい意匠が詰まったユニークな空間。「木虫籠(きむすこ)」と呼ばれるひがし茶屋街の出格子をイメージした壁や、醤油樽をリサイクルした台座が目を引きます。


人間国宝の作品から若手アーティストの作品まで、分け隔てなく飾られているのもここならでは。
ハイアット セントリック 金沢に宿泊して金沢の街に出かけると「これホテルで見た!」という発見があり、ミュージアムを訪れてからホテルに戻ると「これ美術館で見た!」という気づきがあるはず。ハハイアット セントリック 金沢は、「金沢におけるアート文化の発信基地」のような存在なのです。
ハイアット セントリック 金沢の客室「デラックス キング」
ハイアット セントリック 金沢の客室は全部で253室。うち7室がスイートとなっています。お部屋の広さは、もっともスタンダードな客室である「キング」や「ツイン」でも約32平米。金沢駅前という好立地にもかかわらず、リゾートホテルのような広々とした空間でゆっくりとくつろぐことができるのが嬉しいですね。


今回宿泊したのは、「デラックス キング」。38平米のベッド1台のお部屋ですが、同タイプでベッド2台の「デラックス ツイン」のお部屋もあります。
部屋に足を踏み入れた瞬間に目に飛び込んでくるのが、目が覚めるようなブルーの壁面にあるヘッドボード。この群青色は、「成巽閣(せいそんかく)」という金沢の歴史的建造物にある「群青の間」からインスピレーションを受けたものです。


「群青の間」に使われている朱色を採用した客室もあり、異なる雰囲気の空間が楽しめます。
客室のアイコンともいえるこの鮮烈なアートのデザインは、金沢の「路地」をイメージしたもの。よく見るとマンホールのシルエットが浮かび上がっているのがわかるでしょうか?


これは、雪が降り積もった道路の上を下駄を履いた子どもが走って遊んでいる情景をイメージして作られたもの。金箔の部分も下駄の足跡で、実際に走ってもらったのだそうです。一見しただけではわからない部分にもここまでの遊び心とストーリーをもたせるなんて、驚きしかありません。


客室内には、群青色のヘッドボードやベッドリネンの白、金属や黒漆といったはっきりとした色のほかにも、黄土色のような木の色、抹茶のような渋いグリーン、ピンクがかった薄いパープル、漆器のようなワインレッドなど、金沢の伝統色にちなんださまざまなカラーが配されており、素材も金属や漆、布、ガラス、革など多種多様。


これだけ多種多様な色や素材がミックスされていると、もっとごちゃっとした印象になってもおかしくありませんが、まったくうるささがないのは、ハイアット セントリック 金沢のセンスがなせる業。


客室内のバス・トイレはセパレートで、独立洗面台も完備。アーティスティックかつ機能的な空間に身を浸して、思う存分くつろげますね。
ハイアット セントリック 金沢のスイート
「デラックス キング」よりも、さらにスペシャルな時間が過ごせるスイートルームもご紹介しましょう。
ハイアット セントリック 金沢のスイートルームには、64平米の「キング スイート」と、広さは「キング スイート」と同じながらより高層階に位置する「シティービュー キング スイート」、最上位の客室である96平米の「カナザワ スイート」の3タイプがあります。


「シティービュー キング スイート」は、「デラックス キング」をさらに大きくして、リビングとベッドルームを分けたような間取り。スイートルームともなれば、その広さはもちろんのこと、壁には大きな原画が飾られていて、アート装飾もさらにパワーアップしています。


ベッドルームの窓のそばには長机があり、「金沢の街を見下ろしながらちょっと書き物をするのもステキ…」なんて想像をめぐらせてしまいます。
そしていよいよ、ハイアット セントリック 金沢で最も広いお部屋「カナザワ スイート」の登場。客室名に「カナザワ」を冠しているところにも、この部屋にかけるホテルの気合いを感じます。


「カナザワ スイート」で真っ先に目に飛び込んでくるのが、ちょっとしたパーティーができそうなほど大きなソファと深い藍色の飾り棚。オーブンなどの一部キッチン設備も備わっています。


ヘッドボードのアートも、この部屋だけは特別中の特別です。骨董品店から欄間を手に入れ、何度もあく抜きをしてから和紙で仕上げたのだそう。繊細で上品な手仕事にうっとりとしてしまいます。


ハイアット セントリック 金沢の客室はどれも上質ながら適度なカジュアル感があり、「これでもか!」という押しつけがましいゴージャス感はありませんが、内装や調度品のひとつひとつに上質感とこだわりが凝縮されていて、見れば見るほど楽しくなります。
あなたはどのお部屋に泊まってみたいですか?
「地域の伝統を絶やさない」伝統工芸のサステナビリティ


ハイアット セントリック 金沢は、客室内にもうさぎ形のだるまや九谷焼をモチーフにした絵画など、金沢らしい伝統工芸品やアートがさりげなく採り入れられています。
旅先で伝統工芸に出会うとついつい「素敵!」と買いたくなるものですが、「どうやって飾ればいいんだろう?」とか「既存のインテリアに合わないな」などと考えてしまって、購入を断念した経験はありませんか?
その土地らしい伝統工芸品には心惹かれるものがありますが、そのままでは自分の部屋に合わなかったり、古臭く感じてしまったりすることもあります。


しかし、ハイアット セントリック 金沢のお部屋を見ていると、「こんな伝統工芸の採り入れ方があるんだ!」「伝統工芸がこんなにモダンでスタイリッシュになるんだ!」と驚きと発見の連続。


部屋番号のプレートだって九谷焼。お部屋によってそれぞれデザインが違うんです。
近年、後継者不足や売上の減少により、日本各地の伝統工芸が危機に瀕しています。伝統工芸品をモダンに昇華させて伝統工芸の新たな魅力を引き出しているハイアット セントリック 金沢は、「地域の伝統を絶やさない」「伝統工芸品を新たなスタイルで継承する」という点においてもサステナブルな取り組みといえるのではないでしょうか。
「サステナブル」を意識したアメニティ


ハイアット セントリック 金沢ではすべての客室に、ネスプレッソと電気ケトルが備わっています。


日本のホテルでは、コーヒーに比べお茶がないがしろにされる傾向がありますが、嬉しいことにお茶はシンガポールの高級茶ブランド「TGW」。しかも、紅茶とハーブティーが両方用意されていて、時間帯や気分によって使い分けができるんです。日本茶派のために、伊藤園の緑茶とほうじ茶のティーバッグもありますよ。
また、全客室に無料のウォーターボトルが備わっているのですが、ユニークなのが容器がアルミ缶ボトルという点。世界的に問題になっているプラスチックゴミを増やさないための配慮だそうで、ゲストはこのアルミ缶ボトルをマイボトルにして、各フロアにあるウォーターサーバーで給水することもできるのです。
ホテル滞在中はどうしてもペットボトルゴミが増えてしまいがちですが、限られた資源を繰り返し使うなど、少しずつサステナブルな取り組みを実践していきたいですね。


また、バスアメニティは「BeeKind®」というブランドのもの。オーガニック・エキスなどのナチュラル素材を使用したシャンプーやコンディショナー類は、レモンやグリーンアップルにクールなバーベナの爽やかな香りと使い心地の良さが魅力です。
「BeeKind®」製品の収益の一部は、ミツバチの研究に使われるのだそう。近年ミツバチの減少が世界的な問題となっていて、このままミツバチが減り続けると、世界の農業が苦境に陥るともいわれています。ハイアットセントリックに泊まることは、ささやかな社会貢献にもつながるのですね。
地元の食材を使った豊かな朝食


3階にあるオールデイ ダイニング「FIVE – Grill & Lounge」は、日本海の新鮮な魚介など、北陸ならではの食材をふんだんに使用し、素材の味を豊かに仕上げるグリル料理が楽しめるレストラン。


加賀野菜をモチーフにした色鮮やかな絵画や自然光がたっぷり入るガラス張りの壁面、ゆったりと配置された座り心地の良いソファやチェアなど、随所に空間づくりのこだわりを感じることができます。もちろん、安全に食事が楽しめるよう、衛生面の配慮もバッチリ。
1日のはじまりを彩ってくれる朝食会場もここ。ハイアット セントリック 金沢は「ホテルに泊まるときは朝食が楽しみ」という、ホテル朝食ファンの期待も裏切りません。
ホテルの朝食といえば長らく「ビュッフェ」が定番でしたが、コロナ禍でビュッフェ朝食の提供を休止し、セットメニューに切り替えるホテルも増えています。「ビュッフェのほうがいい」という人もいれば、「ビュッフェよりもできたての料理が食べられるほうがいい」という人もいて、好みは人それぞれ。
ゲスト全員の望みを叶えるのは至難の業ですが、ハイアット セントリック 金沢の朝食は「ビュッフェ派」と「できたての料理が食べたい派」、両方の心をくすぐる内容になっているのです。


それはどんなものかというと、ビュッフェ+オーダー制。ビュッフェ台に並ぶ料理を好きなだけ取ることができるのに加え、別途メイン料理をオーダーして作り立てを持ってきてもらうことができるのです。


しかも、ハイアット セントリック 金沢の朝食は、オーダーできる料理の種類が多いのが嬉しいところ。




時節によって内容は変わりますが、オーダー料理は、オムレツ、エッグベネディクト、中華粥、能登ポークロース肉コンフィのグリル、あずきパンケーキ、クロワッサンワッフルティラミスなど約10種類ほど。
卵料理はもちろんのこと、肉料理やスイーツまで選べるのがすごいですね。このスタイルはゲストにも大好評だそうで、「今までのホテルの朝食で一番良いかも」と言う人もいるとか。その気持ち、わかります!


食材の地産地消にもこだわっていて、ホテル朝食の定番といえるオムレツであっても、能登スギヨ食品が発明したカニカマや加賀レンコンの入った「クラシックセレクション」が選べるほか、スイーツメニューにも能登大納言小豆、加賀棒茶など、地元の食材が使われています。




もちろん、ビュッフェ台に美しく並ぶお料理も多種多様で、地元の新鮮な野菜を使ったサラダや彩り豊かなフルーツ、上質なハム・チーズ、ふっくらとした能登の厚焼き玉子、キュートなマフィンやパンなど、これだけでも大満足の内容。朝から最高に幸せな気分に浸れますよ。
さいごに


ホテル予約サイトで写真を見て、ひとめぼれしたハイアット セントリック 金沢。実際に宿泊してみると、期待していた以上にストーリーとこだわりが詰まった空間で、お部屋の内装や調度品が目に入るだけでハッピーな気分に包まれました。


どこを切り取っても絵になるアーティスティックな空間であると同時に、サステナブルな旅のあり方に目を向けるきっかけを与えてくれるハイアット セントリック 金沢。あなたもここで、特別なひとときを過ごしてみませんか。
■住所:石川県金沢市広岡1丁目5-2
■アクセス:JR金沢駅金沢港口(西口)から徒歩1分
■新型コロナウイルス対策情報:https://www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/hyatt-centric-kanazawa/kmqct/policies