最終更新日 2022-07-01
全国の本好き必見、おこもりステイにもぴったりな隠れ家ホテルが、東京都港区にある「芝パークホテル」。1948年創業の老舗ホテルですが、2021年12月にリブランドを行い「人、街、歴史をつなぐLibrary Hotel」に生まれ変わったのです。
「Library Hotel」の名にふさわしく、約1,500冊の本を所蔵する館内は、新旧が同居した感性を刺激する空間。せわしない日常を忘れて、心豊かなひとときを過ごしてみませんか。
記事の目次
「Library Hotel」に生まれ変わった「芝パークホテル」


港区芝公園にある「芝パークホテル」は、1948年創業の老舗ホテル。東京タワーや増上寺にもほど近い東京のど真ん中にありながら、隠れ家的な立地で旅行者にやすらぎの時間を与えてきました。
外国貿易使節団ホテルとして誕生して以来、70年以上にわたって国内外の旅行者を迎え入れてきた芝パークホテルですが、2020年11月以降、客室や共有部分を段階的にリニューアル。「おもてなしの心」や地域の伝統や文化を大切にしつつも、まったく新しいホテルに生まれ変わりました。


リニューアル後のホテルコンセプトは「人、街、歴史をつなぐLibrary Hotel」。古き良き老舗ホテルの品格はそのままに、ワクワクと発見に満ちた空間が誕生したのです。約1,500冊の本を所蔵する空間は、まさに“泊まれる図書館”といえるでしょう。
今回は、そんな古くて新しい芝パークホテルに体験宿泊。実際に泊まったからこそわかるその魅力を紐解きます。
高さ7mの書棚が設置された大階段


芝パークホテルがあるのは、地下鉄御成門駅と芝公園駅、大門駅を結ぶ三角形の内側。JR浜松駅からも徒歩圏内で、観光にもビジネスにも文句なしの立地です。
周辺から東京タワーを望む東京らしさ満点のロケーションでありながら、大通りから一歩入ったところにあるため、ホテル内部は驚くほど静か。館内に足を踏み入れた瞬間、「都心の隠れ家にやってきた」という感じがします。


芝パークホテルのアイコンともいえるのが、1階と2階をつなぐ中央大階段。大胆なカーブを描く階段を囲むようにして高さ約7mの大書棚が設置されています。クラシカルな趣のカーペットが敷かれた階段とダークウッドの書棚が醸し出す雰囲気は、どことなく劇場のよう。


江戸時代には増上寺の学寮があった場所に建っているという芝パークホテル。そんな歴史と伝統が息づく地だからこそ、「土地の想いを受け継ぎ、持続可能なより良い豊かな未来を創造できるように」という願いを込め、この大階段も「過去」「現在」「未来」を表現した空間となっているのだそうです。


土地とホテルにストーリーがあるからでしょうか。階段の上に立つと、なんだか壮大な物語がはじまりそうな気がして、いつまでも大書棚を眺めていたくなります。


おまけに階段脇のエントランスホールには小さな噴水があり、絶えず心地よい水音が流れてきます。都心にいながらにして、ホテル内に入った瞬間、外界の喧噪と隔絶され、やさしい水音に耳をすませることができるというのは、とても贅沢な体験ではないでしょうか。
本が散りばめられた館内
・1階 ライブラリーラウンジ


ホテルの玄関を入って左側には、暖炉にともる「灯」をテーマにした宿泊者専用のライブラリーラウンジがあります。都心にいるとは思えないほど、ゆったりとした時間が流れる空間。このライブラリーラウンジこそが、芝パークホテルの「隠れ家っぽさ」を象徴しているのではないでしょうか。


もちろんここにもたくさんの本が並んでおり、銀座 蔦屋書店のディレクションにより、「普遍的で揺るぎない美」をテーマに、時代が移り変わってもずっと変わらず大切にしたいものを伝えるような書籍がセレクトされています。本のジャンルは写真集から建築、日本文化、旅行ガイド、小説まで多種多様。


重厚かつクラシカルなインテリアにつつまれてページをめくる瞬間は、本好きにとってはまさに至福のひととき。夜になると暖炉に火が灯り、ひときわ贅沢な時間が流れています。
・2階 ホワイエ


2階のホワイエには「人、街、歴史をつなぐ」をテーマにした書籍のコレクションが。過去、現在を踏まえて、これからの未来を考えるヒントになるような本が並んでいます。
・6~11階 イングルヌック


さらに6~11階の客室フロアのエレベーター脇には「イングルヌック」という小部屋があり、ここにも本が置かれているのです。イングルヌックとは「暖かく心地の良い場所」という意味。8階は「写真」、9階は「トラベル」のようにフロアごとに異なるテーマの本が置かれているので、自分の部屋がある階以外も探検したくなります。


館内の随所に本が散りばめられたパークホテル。これらの共用スペースにある本はその場で読んでも構いませんし、お部屋に持ち帰っても構いません。あれこれ手にとって「特別な一冊」を探せるのは、本好きにとってはこれ以上ないほどの幸せですね。
やすらぎをくれるシックな客室


芝パークホテルでは、ほとんどすべての客室が2021年以降にリニューアルされており、歴史あるホテルながらピカピカのキレイなお部屋でゆっくりとくつろぐことができます。
客室インテリアは、和の雰囲気を感じさせるベッドのヘッドボードをはじめ、シックな雰囲気。共用スペース同様、落ち着いたたたずまいが日々の忙しさを忘れさせてくれます。
客室ラインナップは以下の通り。最もコンパクトなお部屋でも20平米以上と、都心のホテルとしては比較的ゆったりとした造りになっています。
・スタンダードキング(21平米)
・スタンダードツイン(21平米)
・スタンダードトリプル(21平米)
・デラックスキング(32平米)
・デラックスツイン(32平米)
・ジュニアスイート(44平米)


友人との旅行や親子旅、カップル旅など、幅広いニーズに応えてくれる「スタンダードツイン」。ベッドとベッドのあいだがサイドテーブルなどで隔てられていないハリウッドツインスタイルです。


芝パークホテルでは、どのお部屋タイプを選んでも客室内の雰囲気は統一されていますが、唯一ほかの部屋タイプとはまったく異なる雰囲気を醸し出しているのが「スタンダードトリプル」。一般的に「トリプル」というと、ベッド3台が並んだお部屋を想像しますが、芝パークホテルのスタンダードトリプルはカプセルタイプの2段ベッドを採用。
最大で6名(大人3名・子ども3名)まで泊まれ、「優雅なホテルステイ」とは少々趣が異なるものの、友人同士やファミリーでわいわいしたいときにぴったりのお部屋です。女子旅でこのお部屋に泊まったら、かつての修学旅行気分を思い出して若返った気分になれそうですね。和テイストの小上がりスペースもあり、団らんタイムもバッチリです。


こちらはデラックスキング。スタンダードに比べて10平米ほど広い32平米で、シーティングエリアもさらにゆったり。また、デラックス以上のお部屋には客室内にも本が設置されていて、「ライブラリーホテル」としての雰囲気をより強く感じることができます。
ワンランク上の滞在が楽しめるジュニアスイート


今回筆者が宿泊したのは44平米のジュニアスイート。一般的なホテル客室の2倍ほどの広さがあり、リビングエリアとベッドルームが完全に独立しているため、用途に合わせて贅沢に空間の使い分けができます。




もちろんバス・トイレはセパレート。ゆとりあるバスタブでゆったりと疲れを癒すことができますよ。
お部屋にはドリップコーヒーのほか、ロサンゼルスにあるオーガニック茶葉のブランド「Art Of Tea」の紅茶や緑茶、ハーブティーも完備。


リビングエリアとベッドルームを隔てるシェルフに置かれた本や、館内に置かれている本を部屋に持ってきて眺めるなど、思い思いのひとときを過ごしましょう。


歴史あるホテルですが設備は最新なので、滞在は快適そのもの。「Library Hotel」ではありますが、リビングエリアとベッドルーム両方にテレビがあり、お気に入りのドラマを観ながらくつろぎたいという人も満足できる環境が整っています。
お茶とお菓子と本のある「至福のアフタヌーンティー」
近年、「ヌン活」として息の長いブームが続いているアフタヌーンティー。芝パークホテルでも、本好き・紅茶好きにはたまらない、とっておきのアフタヌーンティーが楽しめます。
その名も、お茶とお菓子と本のある「至福のアフタヌーンティー」。お気に入りの本を片手に、紅茶の香りに包まれるゆったりとした時間を過ごしてはいかがでしょうか。


芝パークホテルの「至福のアフタヌーンティー」の特徴は、和洋中の3つのジャンルのスイーツとセイボリーが楽しめること。スイーツに合わせて紅茶、ハーブティー、中国茶、コーヒーとさまざまなドリンクが選べるため、最初から最後まで飽きることなく楽しめます。
もちろん、飲み物は種類の変更もOKなので、さまざまなフレイバーにトライできますよ。
お部屋でアフタヌーンティーを楽しめるおこもりプランも


「至福のアフタヌーンティー」は通常、ホテル1階のレストラン「ザ ダイニング」での提供ですが、人目や時間を気にせずじっくりアフタヌーンティーを堪能したい人には、お部屋でアフタヌーンティーがいただけるおこもり宿泊プランもおすすめ。今回、筆者も実際に「お部屋でアフタヌーンティー」プランを体験してみました。
「お部屋でアフタヌーンティー」プランの対象となる客室は、デラックスツインとジュニアスイートの2タイプ。アフタヌーンティーセットを置いても十分なゆとりがあるようにとの配慮からです。


「お部屋でアフタヌーンティー」プランの場合、飲み物はセルフですが、ネスプレッソのコーヒーと「Art Of Tea」のお茶が好きなだけ楽しめます。


「Library Hotel」のコンセプトにふさわしく、お砂糖や砂時計、お茶の香りのサンプルがブック型のケースに詰まっています。こんな演出にも心をくすぐられますよね。
アフタヌーンティーのテーマは季節ごとに変わり、筆者が宿泊したときは「Book&Culture 職人ものがたり 萌」という企画展に合わせて、工芸品人形造花から着想を得たアフタヌーンティーとなっていました。


前述の通り、芝パークホテルのアフタヌーンティーでは、和洋中3種類のスイーツを1度に楽しむことができます。筆者が体験したときは、以下のような3ジャンルのスイーツに加え、スコーン2種とセイボリー3種(ミニハンバーガー、キッシュロレーヌ、カプレーゼ)がセットになっていました。
・中
桜餡の月餅、ジャスミン風味の蒸しカステラ、エッグタルト
・和
黒糖わらび餅、こなし 花見立て
・洋
イチゴムース マカロンとクレープ添え、オレンジゼリー


まさに1度で3度おいしいアフタヌーンティー。3ジャンルのスイーツがあることで、味も食感もさまざまなので、意外とペロリと平らげられてしまいます。筆者が特に気に入ったのは「イチゴムース マカロンとクレープ添え」。イチゴの甘酸っぱさと口の中でとろけるようななめらかな舌触りにうっとりとしてしまいました。


時間を気にせずおしゃべりしたり、写真を撮り合ったりしながら楽しめるお部屋でのアフタヌーンティーは気の置けない女友達との女子旅にぴったりではないでしょうか。あるいは、お気に入りの本を片手に気ままなおひとりさまステイというのもいいかもしれません。
優雅な気分を味わえる朝食


芝パークホテルの朝は、「緑」をコンセプトにしたレストラン「ザ ダイニング」での朝食からスタートします。
朝食の内容は、ベーコンやソーセージが添えられた卵料理と、デニッシュ3種、ヨーグルト、フルーツ盛り合わせ、フルーツジュースがセットになったアメリカンブレックファスト。決して奇をてらわないラインナップですが、朝食にはこうした基本をしっかりおさえた組み合わせが嬉しく感じられます。


ホテル朝食の定番ともいえるオムレツは、むっちりとした美しいフォルムが食欲をそそる一品。ナイフを入れると、とろりとした半熟卵が出現するこの感じは、なかなか自宅では真似できません。
※朝食メニューや提供方法等は今後変更になる可能性があります。
「ザ ダイニング」の空間について特筆すべきが、天井の一部が吹き抜けになっていること。そのため非常に開放感があり、朝から優雅な気分で食事が楽しめました。


また、この「ザ ダイニング」では、洋食・中華・和食の3つのジャンルの料理を同じ空間で楽しめるのもポイント。同じテーブルで異なるジャンルの料理を囲むことができるため、三世代のお客さんにも好評なのだとか。
ランチやディナーでは、和洋中それぞれのアラカルトやコースのほか、和洋中の3つのジャンルの料理を組み合わせた「和洋中ミックスコース」も提供されています。1度にさまざまな味を楽しみたいときにぴったりですね。
芝パークホテル近隣スポット
・東京タワーとのコラボが印象的な増上寺


芝公園駅からすぐのところにある増上寺は、浄土宗7大本山のひとつ。徳川家の菩提寺としても知られ、2代将軍秀忠をはじめ6人の将軍や親族が眠っています。


三門をくぐると目に飛び込んでくるのが、大殿と東京タワーの美しいコラボレーション。増上寺まではホテルから歩いて6~7分なので、芝パークホテルに泊まったときはぜひ足を延ばしてみてください。
・ヨーロッパの風を感じる「ル・パン・コティディアン 芝公園店」


芝パークホテル周辺でおすすめのグルメスポットが「ル・パン・コティディアン 芝公園店」。ベルギー発祥のベーカリーレストランの日本1号店で、本国から取り寄せたナチュラルテイストのインテリアに包まれ、有機栽培の小麦粉を使ったパンやスイーツ、ランチなどがいただけます。
ベーカリーレストランといえど、野菜をたっぷり使った料理のラインナップもあるのが嬉しいところ。


筆者がいただいたのは「ベジタブルラザニア」と「本日のスープ」で、いずれも自家製のオーガニックブレッドが添えられています。
ル・パン・コティディアンのラザニアは野菜が主役。ラタトゥイユとほうれん草がたっぷりと詰まっていて、素材本来の味を生かした優しい味わいに身体も心も喜びます。


もちろんパンやスイーツのテイクアウトもできるので、ちょっとしたおやつを買いに寄ってみるのもいいかもしれません。
おわりに


芝パークホテルは、1948年創業の老舗ホテルでありながら、知る人ぞ知る隠れ家のようなホテル。リブランドで「Library Hotel」に生まれ変わったことで、より一層感性に訴えかけるホテルになりました。


地方から東京を訪れる人はもちろん、都内在住者がちょっと非日常を味わいたいときのおこもり宿にもぴったり。さて、あなたはどんな旅の物語に出会えるでしょうか。
※今回の取材は、ホテル側のご厚意で宿泊を無償提供いただきました。