最終更新日 2022-11-22
記事の目次
小笠原諸島ってどんなところ?
東京の竹芝港から1000km、おがさわら丸という定期船で丸々24時間。江戸時代に発見され、それまであまり人が住んでいなかったこの島は、手付かずの豊な自然が残っています。
海もとても美しく、魚影も濃く、シュノーケリングやスキューバダイビングなどのマリンスポーツが盛んに行われています。魚は種類も豊富で、カンパチやイソマグロ、カッポレ、サワラ、カスミアジ、ロウニンアジなどの大きいものもたくさんいます。小笠原の魚は警戒心が少ないのでエサへの食い付きよく、釣りのしがいがあります。
今回は小笠原諸島の父島近海で船での沖釣りを体験してきました。
父島のフィッシング船



小笠原諸島で最も人の住んでいる島である父島は観光客も多く、アクティビティとしての釣船もたくさんあります。フィッシングボート山ちゃんや、翔雄丸(ひゆうまる)、ワンダーツアーなどがあります。
フィッシングボート山ちゃん
父島周りでの五目釣りがメインで、対象魚はアカハタ、ウメイロ、バラハタ、ナンヨウカイワリなどです。釣具は、道糸:PE4号、オモリ:50号~80号 針:チヌ7号、ハリス:フロロカーボン8号をレンタルとして貸し出してくれるので、手ぶら乗船も可能です。
手ぶら乗船でも乗船料が1日13000円と父島の釣船の中では安いので、人気の釣船です。船は小さいので乗客は5名、釣り使用は4名までです。
翔雄丸(ひゆうまる)


漁師さんがやっている釣船なので間違いありません!
4.95トンの漁船に乗るので、漁船に乗ってみたい人にもおすすめです。また、通常の水深帯でのジギングや鯛ラバ、キャスティングなどはもちろんですが、中深海エリアまで漁師ならではの経験と知識を活かして案内してくれます。普通は見れないオナガダイやハチジョウアカムツなども顔を見せる水深帯でのディープジギングや、さらなる大物を捜して反応を追いかけてみたい!といったリクエストにも答えてくれます。やってみたい場所や釣ったことのない魚のいるエリアまで、とにかくざっくばらんに相談してみれば釣れて行ってくれるかも!?
釣具のレンタルもしてくれます。リールはシマノ(SHIMANO)の ベイトリール 両軸 18 オシアコンクエストCT 201HG(左) で、ロッドは、シマノ(SHIMANO) ジギングロッド オシアジガー ∞(インフィニティ) モーティブ B610-2です。連絡は公式LINEや電話で予約することができます。
ワンダーツアー



私が今回予約した釣船です。ワンダーツアーは最近始まった釣船です。新船のためとても綺麗な船で、船内にはゆったり座れるシートもありとても快適です。小笠原の海を知り尽くした島っこがガイドしてくれます。レンタルロッドは、グラップラーBB、リールは、スフェロスSW6000PGを貸してくれます。連絡は、Instagramのダイレクトメッセージや電話で予約することができます。トイレ事情なども詳しく教えてくれ、とても親切で丁寧でした。
フィッシングツアーの内容
ワンダーツアーは1日のツアー代金が15000円で、レンタルタックル代が5000円でした。1日ツアーだと所要時間は7時間程度です。また、釣り上げた魚の鮮度を保つための氷代が1500円、もし借りたジギングルアーを根がかりなどでなくしてしまうと実費で2000円かかる、という料金体系でした。


レンタルタックルはグラップラーBBのTypeJ HyperX、リールはスフェロスSW6000PGというミドル級のランクの釣り具で、2kg超えのカンパチがかかったのですが、女の子の力でもあげることができました。一般的に、釣船で貸し出されているものは、安くてボロボロなものが多いようなのですが、ワンダーツアーのレンタルタックルはとても使いやすく、しかも綺麗でした。
1日ツアー以外では半日ツアーもあります。釣りの内容としては、ライトジギングや五目釣りファミリーフィッシング、キャスティング、エギングなどがあり、ザトウクジラの来島シーズンでは、ホエールウォッチングをしてくれる時もあります。
キャスティング
大きなルアーを使ってサワラやイソマグロなどの大物を釣るツアーです。キャスティングはルアーも1つ1万円などの高価なものを使い、バランスの悪いボートの上で針の付いたルアーを投げるので、本人も他人も危険になったり、大物を釣り上げるテクニックなどが難しいので基本的には経験者にしか貸し出しをしていません。
五目釣り、ライトジギング


五目釣りはいろんな魚を釣ってみたいという人におすすめです。五目釣りは魚の切り身などの餌を使うので、すぐに魚が食いつき、面白いです。ライトジギングは今回私が体験したツアーなのですが、ルアーを美味しそうに見せるように動かすのが面白くもあり、難しくもありました。ライトジギングはかなり釣竿を細かくうごかす必要があり、しゃくりというのですが、普段しない手の動きなので腱鞘炎になりそうでした。しかし、やれば釣れるのが面白くて休むことなくずっとしゃくり続けました。
エギング


イカを釣るとき木を魚の形にしたルアーを餌木というのですが、それを使ってイカを狙うことをエギングと言います。小笠原はアオリイカが有名で、めちゃくちゃ美味しいです。アオリイカは2〜5月がシーズンで、その時期になると島民がこぞって青灯台などでイカ釣りをします。朝まずめか夕まずめの2時間が勝負で、たった3000円で沖釣りができるのでとってもおすすめです。
ファミリーフィッシング
ファミリーフィッシングは未就学児の子どもがいる家族におすすめで、半日のツアーです。安全上、レンタルタックルは3本までのレンタルになりますが、無料で貸し出してくれます。お子さんとの思い出にいかがですか。
フィッシングツアーの流れ


父島の観光船は青灯台と呼ばれるおがさわら丸が着港する二見港の近くの湾か、とびうお桟橋が集合場所になることが多いです。ワンダーツアーの場合はとびうお桟橋の端、漁協側が集合場所でした。ツアーの開始時間は、他にお客さんがいなければ相談に乗ってくれます。
今回は潮の流れの関係もあり早朝5:45集合の6時出発でした。早朝は餌の食いつきがいいのと、6時は上潮でこれから下潮がくるというタイミングでした。
集合場所でツアーの免責事項に記入します。そこから船に乗り船の使い方の説明を受けました。船の前方に左右二箇所ロッドを差し込んで立てて置けるスタンドがあり、右舷側に4箇所、後方に4箇所とたくさんスタンドがありました。そして一人一本釣竿を貸していただきました。


新艇なのでとても綺麗でどこも掃除が行き届いており、トイレもとても清潔でした。操舵室やトイレには靴を脱いで上がります。操舵室は濡れないようになっているので、濡らしたくないカメラなどを持ち込んでも安心です。


魚用のクーラーボックスと飲み物や食べ物を入れておくクーラーボックスもあります。飲み物、食べ物用のクーラーボックスには氷が入っているので、保冷は完璧なのですが、水が入らないようにビニール袋などで密閉しておく必要があります。飲み物、食べ物用のクーラーボックスの蓋には魚のサイズが測れるメモリが付いていました。


私は沖釣りの初心者だったので、どのようにルアーを動かせばよく釣れるのか分からず、船長に手取り足取り教えていただきました。


左手でロッドを小刻みにしゃくりながら、同時に右手でリールを一巻きずつ巻いていくという動きは、とてもハードでタイミングが難しかったです。しかし、何投かしているうちに糸がぐっと海の中に引き込まれました。アタリです!!


竿を立てて、海中の魚を引き寄せながら、リールを巻いていきます。かなり重たかったですが、どうしても一人で釣り上げたかったので、意地でリールをひたすら巻いていきました。時折休憩を挟みつつ、少しずつリールを巻きようやくその姿が見えてきました。
その魚の正体は、カンパチ!!
今回の釣りの目的の魚でした。2kgオーバーくらいのサイズで、めちゃくちゃ嬉しかったです。船長だけでなく、一緒に同乗していた人たちも写真を撮ってくれました。


釣った魚は船長がすぐにタモを出して掬い上げてくれます。


そして釣り上げた魚との2ショットの写真を撮ってくれます。針も外してくれ、写真を取りやすいようにペンチに引っ掛けてくれるので、めちゃくちゃいい写真が撮れちゃいます。魚の口をカメラに向けて、遠近法を出すと魚が大きく見えて、迫力が出るそうです。


釣り上げた魚はすぐに脳天締めをしてくれるので、食べる時も美味しく食べることができます。釣った魚を狙ってか、カツオドリがたくさん集まってきました。


船長はアタリが出たポイントでは長めに釣りをさせてくれ、なかなかアタリが出ないポイントではすぐに場所を変更するなどしてくれました。また、船を止めていると船が潮で流されてしまい、ポイントがずれてしまうのでこまめに「糸を巻いて!」「ちょっと場所動かすよ」などと指示をして、ベストなポイントを常に維持してくれました。操舵室に魚群探知機も付いているので、しっかり魚の動きをみながらポイントを選んでくれます。


そのおかげで初心者の私でも、カンパチ、カッポレ、アカバ、キツネフエフキなど美味しい魚を釣り上げることができました。ツアー客は4人だったのですが、同乗した人で釣れなかった人はおらず全員がたくさん釣ることができ、最後にはあまり釣れすぎて小笠原の海に申し訳ない気持ちになりました。


フィッシングツアーの注意点
ボートはやはり揺れやすいので、酔いやすい人もそうでない人も酔い止めは飲んでおいたほうがいいです。また魚釣りでは潮の流れが重要で、朝早ければ魚が釣れるイメージがありますが朝早ければいいってものでもありません。潮がよく分からなければ、船長におすすめの時間帯を聞いてみましょう。
また、同乗する人数にも注意が必要です。釣り具をレンタルするなら数に限りがあります。順番に交代で使ってもいいですが、できれば一人一本釣竿があるといいですよね。人数が多くて釣竿は自前のものがある場合は、船をチャーターしてしまった方が安上がりの場合もあります。


ワンダーツアーでは、お弁当や飲み物は自分で持ち込む必要がありました。お湯はないそうなのでカップラーメンなどではなく、お弁当を前日に買っておいて持ち込みました。朝早いと商店がやっていないことがあるので注意が必要です。
釣った魚で打ち上げパーティー


大量に魚が釣れたので、居酒屋に連絡し魚を調理してもらうことにしました。
実は、事前にその居酒屋に「いついつに釣りに行くので、もしたくさん釣れたら捌いて料理して欲しいです!」ということを連絡していました。その日に持ち込んでその日に食べるということもできますが、居酒屋が忙しいということもあり、その日に料理してもらう場合はあまり品数が多くできないようです。なので、翌日や翌々日にした方が居酒屋も時間の余裕ができますし、魚も身が締まって美味しくなります。
私も釣りが終わってすぐに魚を居酒屋に持ち込みましたが、翌日に打ち上げパーティーをすることにしました。お店は「洋風居酒屋CHARA」です。「洋風居酒屋CHARA」では1匹500円で調理して出してくれます。他にも父島では居酒屋では「うわべ屋」などが釣った魚を捌いて出してくれます。宿泊先のホテルや民宿などでも対応してくれるはずですので、事前に聞いておくといいです。
釣れた魚が種類も豊富で数もたくさんあったからかもしれませんが、出してくれた料理は本当に豪華でした。最初に出てきたのは刺し盛りで、頭までついた豪華な盛り付けでした。


他に魚の煮付け、焼き魚、天ぷらを出してくれました。そのどれもが絶品だったのでプラスでカルパッチョと海鮮サラダ、油淋鶏風をお願いしました。自分で釣った魚を食べるということもあってか、どれも美味しく最高の打ち上げになりました。


自分で魚を捌きたい人は


自分で釣った魚は自分で捌いてみたい!という人もいるかと思います。ホテルではキッチンがついていないことも多く、調理場所に困る人もいるでしょう。そんな時は青灯台がおすすめです。島民は青灯台でウロコ取りや内臓取りをしています。ウロコが飛び散っても海で洗えばいいですし、血も海ですぐに洗い流せるのがメリットです。ちなみにウロコ取りは小祝商店の裏のお店で売っています。
まとめ


ほとんど初対面の人たちと同乗した釣りのツアーだったのですが、共に魚と戦う仲間のような、友情が芽生えた気がします。魚とのやり取り、勝負は緊張感がありとても面白かったです。海面近くに上がってきた時にようやく魚の正体がわかるドキドキ感もありました。
小笠原は透明度が良いので、浅いポイントでは船から海を見下ろすと魚影が見える時があるので、まるで釣りのゲームのようです。泳ぎながら魚を釣る泳ぎ釣りなども島では盛んです。魚釣りというと待ち時間が多い印象がありますが、釣れるポイントを熟知している船長なので釣れなくて暇な時間が全くなく、むしろ釣れすぎて困る、というような1日でした。
ぜひ皆さんも小笠原での釣りを楽しんでみてくださいね。