最終更新日 2022-11-25
小笠原諸島は東京の竹芝港から船で24時間のところにあり、父島列島、母島列島、硫黄島列島、聟島列島などがあり、それぞれ多数の島々で構成されています。これまで大陸と陸続きになったことがなく、小笠原諸島固有の動植物が多数生息しています。珍しい生態系ということで、ユネスコの世界自然遺産にも登録されました。海に囲まれていることもあり、マリンアクティビティが充実しており、晴れたら外に出ることをモットーにしているアクティブな島民が、小笠原にきたらぜひ体験して欲しいおすすめのマリンアクティビティを紹介します。
記事の目次
小笠原諸島でおすすめのマリンアクティビティ
小笠原諸島は海がとても美しく、ボニンブルーと呼ばれる深い青色が特徴です。海を眺めているだけでも癒され、最高の時間を過ごすことができるのですが、海で遊ぶマリンアクティビティもぜひ体験して欲しいです。小笠原の海は上から見れば透き通っていて、20m以上の水深の海底まで見えることがありとても綺麗なのですが、海の中はサンゴが美しく、そしてたくさんの生き物が住んでいて毎日違った出会いがあります。
おすすめ①スキューバダイビング


ランキング形式で紹介するわけではないですが、小笠原でおすすめのマリンアクティビティの第1位はなんといってもスキューバダイビングです。かくいう私も小笠原に来る前は30本程度しか潜ったことのない初心者ダイバーでしたが、小笠原でダイビングの楽しさに目覚め、今では200本目前のダイバーになっています。
小笠原諸島でのダイビングは日本中のダイバーの憧れの地とも言え、ニラミハナダイやミズタマヤッコ、ユウゼン、オビシメなどの多くの固有種が生息しています。また大きな魚も多く、イソマグロやカンパチ、ロウニンアジ、カスミアジなどの大物も真近で観察することができます。小さな魚ではシコンハタタテハゼやピグミーシーホースなど可愛い魚も多く、マクロ派も大満足の海です。
小笠原はダイビングの聖地であり、いくつものダイビングショップがあるのですが、それぞれに得意とする分野があり、個性があるので自分の好きなダイビングをしてくれるショップを選ぶのがおすすめです。ダイビングショップに申し込むときに、ワイドが好きなのかマクロが好きなのか、ゆっくりとしたダイビングが好きなのか、それともガッツリ泳いでいくダイビングが好きなのかをきちんと伝えておくと、見たかったものを見せてくれるかもしれません。
また、小笠原の海には、戦争で使われた船が沈んでいて、沈船のポイントでダイビングするレックダイビングも人気です。ロマンあふれる沈船に、根魚がびっしりとついている様子や、大きなシロワニと呼ばれる強面のサメがヌッと出てくるのもドキドキです。


父島近海の海だけでなく、聟島列島(通称ケータ列島)へのダイビング遠征も人気です。ケータ列島は人が住んでおらず、手付かずの自然が残っており魚も人をそれほど怖がらないので、とても近くまで寄ってきてくれます。ケータでは、船の中で泊まりがけでダイビングすることもあり、泊りケータと呼ばれています。ダイビング好きな人にはたまりません!!


もちろん体験ダイビングもすることができます。深いところにはもちろん行くことはできませんが、体験ダイビングでも十分小笠原の海を堪能することができます。ダイビングライセンスを持っていない人にもおすすめのアクティビティです。


また、ダイビング船に乗れば、イルカが出た時にはドルフィンスイムができたり、ザトウクジラが近くにきた時にはホエールウォッチングもついでにできるのでお得です!!ダイビングを2本して、マッコウクジラの棲む外洋に連れて行ってくれるときもあります。ダイビング中にイルカが現れてくれることもあり、イルカと一緒にダイビングできた時は最高に興奮します!!
おすすめ②海釣り


小笠原の海は大きくて美味しいお魚がいっぱいです。釣りが好きな人も、一度もやったことがない人にもおすすめしたいマリンアクティビティです。
筆者もほとんど釣りの経験がありませんでしたが、船長が初心者でも釣れるポイントに釣れて行ってくれ、竿の動かし方なども教えてくれるので、面白いように釣れます。無人島の磯に降ろしてもらって、じっくりと腰を据えて陸釣りをする人もいます。
釣りといえば釣り糸を垂らしてひたすら魚が食いつくのを待つ、忍耐勝負のアクティビティだと思いがちですが、小笠原の釣りはとっても忙しいです。ルアーをひたすら動かして魚が食いつくのを待ちます。ルアーを動かすのは、ルアーが活きのいい小魚のように見せるためで、ルアーをうまく動かすと魚が勢いよくバクッと食いつきます。
魚との引き合いの勝負はとてもアグレッシブで、刺激がありました。実際にカンパチやカッポレ、アカバなどがたくさん釣れ、最後には釣れすぎて小笠原の海に申し訳なく思ったほどです。
釣れた魚は居酒屋や宿に持っていけば、捌いて料理してくれます。洋風居酒屋CHARAでは1匹500円で捌いてとっても美味しい料理に変身させてくれました。刺身や天ぷら、焼き魚、煮魚など、島の魚が堪能できました。マリンアクティビティも楽しめて、料理も楽しめる一石二鳥でおすすめです。


おすすめ③パラセーリング


パラセーリングは父島で2022年11月から始まった新しいアクティビティです。トルコから持ってきたパラセーリング専用の船でパラシュートを引き、上空から小笠原の海を眺めることができます。昨今、ドローンが生まれ、上空からの景色をカメラを通して見ることができるようになりましたが、実際に自分の目で見ることはなかなかできません。特に、小笠原は飛行機もヘリコプターも飛んでいないので、上空からの景色を見ることができるのはパラセーリングだけです。
空をゆったりと浮かぶような感覚を味わうことができ、その感覚もさることながら見える景色も非日常的で、刺激的なアクティビティです。フライトする時も降りる時も船の後方の甲板からできるので、ほぼ濡れることがないのもメリットです。
飛んでいる間はもちろん楽しいのですが、下からパラセーリングをしている様子を見るのも楽しく、その様子を写真に撮るとフォトジェニックです。パラセーリングをしている間も下で待っている間も楽しい時間を過ごすことができます。
父島の近海に南島という島があるのですが、この島は沈水カルスト地形と言って真ん中が窪んだようになっている世界でも珍しい地形の島です。船上から見るとその奇妙な地形はわかりにくいのですが、パラセーリングは上空100mから見ることができるので、南島の地形も見ることができます。


また、イルカの群れやクジラも上空から見ることができるかもしれません。ただ、風が強い時には運航されませんので注意してください。
半日のツアーなので、1日のうちに他に予定がある人でも参加しやすいです。また、出港日には、出港時間に合わせたフライトもあります。何度も小笠原にきたことがある人も、小笠原の景色を上空から見たことのある人はほとんどいないと思いますので、ぜひこの新しいアクティビティに挑戦してみてください。
おすすめ④ホエールウォッチング


小笠原諸島では年末頃からゴールデンウィーク頃にかけて、ザトウクジラが繁殖のためにアラスカから南下してきます。実は小笠原では独自のルールを作っています。クジラの100m以内で見学することは禁止しており、一緒に泳ぐことも禁止されています。ちなみに沖縄の鹿児島の奄美群島などでは、ザトウクジラを見ることができ、ホエールスイムもできますが、ザトウクジラの数は小笠原が圧倒的に多いです。
奄美群島ではザトウクジラを見ることができない日もありましたが、小笠原ではザトウクジラを見つけられないことはほとんどありませんでした。ザトウクジラは、水中を泳ぎ海面に上がってきたときに、呼吸のために潮吹き(ブロー)をするのですが、それを目印に探します。たまにブリーチと呼ばれるジャンプもしてくれるのでとても見応えがあります。頭だけを出して海上の様子を探るスパイホップやヒレを海面で叩きつけるアクションなどもしてくれる時があり、海の大きさを実感します。
冬は風が強く海が荒れている時が多いのですが、そういう時ほどザトウクジラはブリーチなどのアクションをしてくれます。逆に、天気がよく海も穏やかだと、子クジラに泳ぎ方を教えるためなのかかなり外洋に泳ぎに行ってしまい、なかなかクジラが見つからないということもあります。海が荒れている時にこそ勇気を持ってホエールウォッチングに行ってみてください。
サンセットホエールウォッチングもやっていて、夕日に染まった海で優雅に泳ぐザトウクジラを探しに行くツアーもありますよ。
また、夏には父島から船で1時間ほどの小笠原諸島の外洋にマッコウクジラも生息しています。集音マイクを水中に差し込み、クリック音と呼ばれるマッコウクジラの鳴き声を探します。そして、クリック音が聞こえる方向に船を走らせてクジラを見つけます。1頭でいる時もあるのですが、オスのマッコウクジラがハーレムを作っている時もあり、その様子は圧巻です。
おすすめ⑤サンセットサップ


サーフィンのボードのような板の上に立ってオールで漕いで海面を進むスタンドアップパドル(SUP)は、お手軽にできるマリンアクティビティとして人気です。全身を使いますし、バランスを取らなければならないので、体幹も鍛えられかなり運動になります。身長程度の高さから海を見下ろすことができるのが新鮮です。
SUPはエンジンではなく手漕ぎなので海面に波が立ちにくく、海の中の様子がよく見えます。船などのエンジン音を嫌うウミガメなどもSUPなら寄ってきてくれることがあり、可愛い出会いもあります。また、小笠原の海は透明度が高く、20m程度の水深であれば海底まで見通すことができます。
一口にSUPツアーと言っても、SUPでジニービーチというビーチまで父島をぐるっと回っていくツアーなどもあります。大きな波に煽られると大きく揺れ転覆することもあるSUPですが、そのスリルもまた醍醐味の一つと言えます。
SUPでおすすめのツアーは、サンセットサップです。エンジン音もなく、静かな海の上で漂いながら水平線に沈みゆく太陽と夕日に染まる海を眺めるのはとても贅沢な時間です。海、SUPボードそして自分も赤く染まり、自分も地球の一部になったような感覚になります。
ザトウクジラのシーズンであれば、島の周りをSUPで漕いでいるとクジラが近くでブローをして驚く、なんてこともあります。
おすすめ⑥ドルフィンスイム


小笠原でとても人気なのがドルフィンスイムです。小笠原の近海にはハシナガイルカとミナミハンドウイルカが生息しています。先程クジラとは一緒に泳げませんと言いましたが、イルカとは一緒に泳ぐことができます。
ハシナガイルカは100匹程度の大群で泳いでいることが多く、遠くからでも見つけることができます。別名スピナードルフィンとも呼ばれ、ジャンプをするときにくるくる回るようにするのが特徴です。船の引き波が好きなようで、船を走らせていると船の引き波の中を泳ぎに来ることがあります。ゆっくり船を走らせてもらって、Goproなどのアクションカメラに自撮り棒をつけて海中に突っ込んで見ると圧巻の動画が撮れます。見ていて面白いのは、ハシナガイルカですが、一緒に泳ごうと思って海に入ると、全く遊んでくれることなく、スーッと通りすぎて行ってしまいます。


一方、ミナミハンドウイルカは人懐っこい性格で、海に入ると一緒にくるくる回ったりと遊んでくれとても可愛いです。しかし2、3頭多い時で10頭程度というハシナガイルカに比べるとかなり小さな群れです。
ドルフィンスイムツアーは、南島上陸ツアーなどとセットのことがあり、小笠原に初めて来る人にはキャベツビーチでのシュノーケリングや南島上陸ツアーもついている盛り沢山のツアーもおすすめです。
おすすめ⑦シュノーケリング


ツアーに申し込まなくても普通にシュノーケリングくらい楽しめるよ!と思っている方も多いかもしれません。しかし、小笠原は潮の流れが早いポイントもあり、潮の流れをわかっていない島外の人が一人でシュノーケリングをしていて、流されてしまって…ということも結構あります。
一人でシュノーケリングをしていると、不測の事態に対応できないこともあり、慣れていたとしても、複数人でするのがおすすめです。安全第一で、綺麗な海を楽しむことができるのが一番です。
ちなみに小笠原の海はサンゴが綺麗なポイントや砂地が綺麗なポイントもあります。製氷海岸は特に枝サンゴが見事です。宮の浜や釣り浜は浅いために光の入り方が綺麗で、サンゴがキラキラと生き生きして見えます。また、コペペ海岸や小港海岸、扇浦海岸、大村海岸は真っ白な砂地が綺麗で、海面にできた波紋が砂地に映ってとても神秘的です。


数々のシュノーケリングのポイントはありますが、小笠原っぽいと言えばなんといっても沈船です!境浦海岸の濱江丸の沈没船が有名ですが、他にも扇浦海岸などのシュノーケリングでいけるところに沈船があるポイントはたくさんあります。シュノーケリングのツアーに申し込み、そんなディープなポイントに連れて行ってもらうのもおすすめです!
まとめ


豊かな自然が残っている小笠原では、マリンアクティビティが盛んでそのどれもが世界屈指のレベルの高さです。小笠原の海は毎日行っても飽きないほど、いつも違う景色を見せてくれます。同じ場所、同じ時間でもそこにいる生き物は違いますし、光の入り方も刻一刻と変わり一秒も同じ光景はありません。いつでも新鮮でいつでも魅惑的な海が小笠原にはあります。もちろんのんびりと過ごすこともできますが、アクティブな人であれば、何度来ても何日いても遊び足りるということがありません。船で24時間で、しかも1週間に1便しかないというハードルの高い旅行先ではありますが、一生に一度は訪れてほしいとても魅力的な島です。海を眺めるだけでいいという人も、ぜひ小笠原の海に触れて遊んでみてください。