最終更新日 2023-02-01
記事の目次
ならまちの歩き方
東大寺などの観光名所までは、商店街になっておりレトロなお店が立ち並んでいます。ならまちの中には、作家の志賀直哉あ住んでいた旧居があり、「とにかく、奈良は美しいところだ。残っている建築も美しい。そして二つが互いに溶け合っている点は他に比を見ないと言って差し支えない。今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいように美しい」と言っています。


東向商店街の突き当たり付近には、高速餅つきで有名なお餅やさん「中谷堂」もあります。餅をついている時に見れたらラッキー!つきたてのお餅は、暖かくて柔らかくて、味も最高です!
ならまちの雑貨屋巡り


ならまちでは、奈良らしく大仏や鹿があしらわれた小物や、古都を感じるレトロで可愛い小物が売られている雑貨屋さんがたくさんあります。もちいどの商店街「夢CUBE」には、奈良の手染め革製品を扱っているお店「えみいろ」や御朱印帳と雑貨を売っている「たびじたく」などがあり、ウィンドウショッピングも楽しめます。


私が行った日は大雪が降り続いて、止みそうになかったので、折り畳み傘を買おうとふらっと立ち寄った雑貨屋さんは、和風の生地で奥様が手作りされている可愛い髪留めや小物が売っている素敵なお店でした。


酒造で利き酒体験
「春鹿」500円で5種類の日本酒の利き酒ができ、しかも使ったお猪口をプレゼントとして持って帰ることができます。底には鹿があしらわれていて可愛いです。利き酒で気に入ったお酒を買うこともできるのでお土産におすすめです。私は4合瓶を一本買って、それを飲みながら友達と燈花会を楽しんだことがあります。
奈良へのアクセス


奈良駅には、JR奈良駅と近鉄奈良駅があるのですが、東大寺や春日大社などの奈良市の観光のメインに近いのは、近鉄線です。JR線でお越しの際は、JR奈良駅の駅前から近鉄奈良駅へのバスが出ているので、ぜひ使ってください。歩くと結構距離があります。片道220円です。駅前の「なら百年会館」は、中々面白い建築になっています。


そして、近鉄線でお越しの際は、ぜひ駅構内の看板をチェック!可愛い鹿がデザインされています。近鉄特急の大阪難波からのラインの「ひのとり」や大阪難波、京都からの「あをによし」に乗って見るのも一つの楽しみです。
近鉄奈良駅の南改札口から出ると、渋谷のハチ公ならぬ奈良の行基像が。奈良時代に聖武天皇の命じた大仏建立のための資金を集めるために全国を行脚した僧侶です。ぜひ、ならまち歩きの集合場所は「行基前」で!


奈良の隠れた史跡「頭塔」


土を盛った表面は石で覆い、方形の封土を3段に築きその4面に石仏を配列したもので、現在浮き彫りの石仏が13個あり、奈良時代の数少ない石仏群として有名です。東大寺の僧実忠が国家安泰を祈って築かれました。現在は、改修工事のため見学は予約のみになっています。似たような形式の史跡では、大阪府堺市に「土塔」があり、行基が建立したと言われています。ならまちから少し歩きますが、奈良で寺社仏閣とは少し違った観光スポットです。
奈良でお抹茶体験「茶論」


お抹茶は、もともと中国から伝来されたものですが、現在の日本で行われている茶道は、室町時代に村田珠光によって日本の和の心「侘び寂び」が茶道に取り入れられたものです。村田珠光は奈良出身の茶人で、茶道に使われる茶筌は、奈良の高山のものが最高であると保床し、今でも生駒の高山は茶筌の生産が日本の95%を占めています。村田珠光の後、安土桃山時代に茶道を大成した千利休は、お茶道具である帛紗は、奈良の高級朝織物「奈良晒し」で作られたものが最高であると評価し、この帛紗を売ることで一財産を築いた中川政七商店でお抹茶体験をしてきました。
茶道体験の流れ


売られている茶道の道具は洗練されていて、おしゃれです。茶道体験ができる部屋から中庭が見え、とても風流です。茶論のコンセプトは「以茶論美」(茶を以て美を論ず)という言葉だそうで、季節やその場の空間を踏まえ、お茶を嗜むという時間を楽しむことを大切にされています。
最初にお茶の歴史の説明があり、そして実際にお抹茶の体験をしました。
①抹茶をスプーンで山盛り1.5杯すくう
私の体験の時は、他に体験者がおらず一対一のマンツーマンで教えてくださったので、「これくらいの量ですか?」と聞きながらすることができました。抹茶を茶碗に入れてから、スタッフの方が茶筌の使い方を実際にやって見せてレクチャーしてくれました。
②お湯を入れる
お湯は、スタッフの方が最適の量を茶碗に入れてくださいました。
③茶筌で少し底を擦るようにお抹茶を混ぜる


竹を細く切った泡立て器のような形状である茶筌は、抹茶に空気を含ませることで、抹茶の苦味を泡に閉じ込めてクリーミーな口当たりにする役割があります。最初は、縦に「シャカシャカ」と音が出るように少し底を擦るように手首のスナップを効かせてお抹茶を混ぜていきます。そして泡が立ってきたら、大きな泡を潰すようにN字になるように茶筌を動かし、細かい泡にしていきます。
④お抹茶とお菓子をいただく


奈良の名物である葛餅をいただきました。見た目によらず、とってもやわらかく甘い和菓子でした。苦い抹茶と最高にマッチしていてとてもおいしかったです。
茶論のお抹茶体験のコースには、今回私が受けたのは「奈良を味わう抹茶体験」でしたが、実践稽古も毎月開催されています。実戦稽古のコースでは、茶論の茶道具箱を使ってお茶を一服点てるお稽古(茶箱での薄茶点前)を行います。抹茶初体験の方でも受けることができますが、「奈良を味わう抹茶体験」で抹茶がどういう世界なのかを学んでから実戦稽古を受けてみる流れがおすすめです。実戦稽古を受ける際には申込時に「salony2023」(2〜3月のみ)とコードを入れると1000円引きの割引を受けることができます。
ならまちのおすすめグルメ
「奈良にうまいもんなし」とよく言われますが、奈良にも名物はあります!しかし、土地柄かあまり目立つものがないのも確かです。例えば、よく言われるのは「奈良漬け」。奈良漬けは、地味でそれだけで食べることもないですが、「春鹿」で利き酒のつまみとして出してくれた奈良漬けはとてもおいしかったです。
そうめん処スルスル


山自体が御神体となっている三輪山から名前を取った「三輪そうめん」を鯛出汁のスープでいただけるお店です。今回はランチはこちらでいただきました。ならまちを歩きながら行ける場所にあるので、道中も楽しめます。そうめんは家で食べるものと思いがちですが、濃厚な鯛出汁スープと揚げレンコン、カボチャの添え物でいただく一流のそうめんはとてもおいしかったです。ほうじ茶で炊いた炊き込みご飯もセットで食べることができます。


お土産にもできるので気に入った方はどうぞ!
奈良の酒蔵全部のみ!「うまっしゅ」


奈良には、つの酒蔵があるのですが、その奈良県29箇所ある酒蔵の日本酒を全部飲むことができます!50ml、100ml、130mlの盃があり、50mlで利き酒風にさまざまな銘柄を試すこともできます。また、うまっしゅにはポイントカードがあり、飲んだ酒蔵のところにスタンプを押してくれ、10個以上のスタンプがたまると、グレードがアップしていきます。
和いんと日本酒kuriya〜厨〜


ここでは、奈良県の酒蔵の日本酒と日本で作られているワインも飲むことができます。料理も日本酒にもワインにも合う味に研究されていて、どれもとても美味しいです。奈良県の日本酒以外にも全国の厳選された日本酒も飲むことができます。日本のワインといえば、ベリーAのイメージが強いですが、別の品種のワインもあり、どれも果実味があっておすすめです。




法隆寺ってどんなお寺?


法隆寺は、実は奈良市ではなく斑鳩町という場所にあります。きっと奈良県民以外で読める人は少ないはず。これは「いかるが」と読みます。世界最古の木造建築として平成5年に世界文化遺産に登録されました。近くにある法隆寺や法起寺も「法隆寺地域の仏教建造物」として一緒に登録されています。
JR法隆寺駅が最寄駅なのですが、駅から15分くらいのところにあるため、JR法隆寺駅の南口から法隆寺参道行きのバスが片道190円で乗れます。法隆寺参道のバス停からJR法隆寺駅までは最終が16:なので注意してください。バス停のそばには、エンティのポケモンのマンホールがあるので、ポケモン好きな人は要チェックです。
法隆寺の見どころ


中国文化への順応しつつ、日本独自の様式を確立した木造建築のレベルの高さはちょっと足を伸ばしても見てほしいポイントです。仏教伝来以降、日本の宗教建築に影響を与えてきました。法隆寺の拝観チケットは、西院伽藍、大宝蔵院、東院伽藍(夢殿)の3箇所を拝観することができ、1500円です。西院伽藍は塔・金堂があり、東院伽藍は夢殿が中心になっています。
法隆寺の見どころ①飛鳥時代の姿を今に伝える世界最古の木造建築


用明天皇が自らの病気の平癒を願って建立を目指していましたが、念願果たせず崩御してしまったため、推古天皇と聖徳太子が遺志を継いで飛鳥時代の607年に建立されました。670年に伽藍が全焼し、その後再建され、部分によって飛鳥時代や鎌倉時代など時代差があります。
法隆寺の見どころ②エンタシスの柱
エンタシスの柱は、古代ギリシアのドーリア式建築で有名ですが、 輪郭が直線の柱は中細で不安定に見えるのを防ぐために法隆寺の柱にも採用されました。西院伽藍の中門、回廊、金堂や五重塔に見られます。エンタシスの柱だけでなく、建物に使われている木材の大きさや太さは圧巻です。
法隆寺の見どころ③表情豊かな彫刻
大宝蔵院では、飛鳥時代から伝わる観音像や玉虫厨子などが安置されています。観音像は、表情豊かに彫像されており、それぞれ顔が違うのが印象的です。文様を精細に透かされた円光背も美しいです。観音菩薩立像(九面観音)は、一材から彫り出されており、体から離れている部分も全て共木から作られているという驚異的な彫技です。また、聖霊院の木造聖徳太子像は、45歳の時の「勝曼経」を講讃した時の姿と伝えられており、瞳の部分にはガラスの板が嵌められています。








大宝蔵院では写真を撮ることができないのですが、東京都の上野公園にある東京国立博文館の法隆寺宝物館では、国宝の像が何体も飾られており、写真撮影もすることができます。大宝蔵院と東京国立博文館で見ることのできる像は全くものが違いますが、参考までに。写真は全て東京国立博文館で見ることのできる像です。
法隆寺の見どころ④瓦留めのデザイン
法隆寺の瓦のデザインはそれぞれ異なり、参道の脇にある家屋の瓦も見逃せません!鬼瓦やシャチホコはもちろん、瓦の上に躍動的な獅子が立っていたり、菊や蓮などのお花もありました。夢殿の屋根に乗っている福笑いの瓦留めは、夢殿の中では平安時代に作られたもので、最も古いそうです。




回廊の瓦には、「法隆寺」と書かれており、こちらは江戸時代に作られました。


拝観コースから外れた八角造りの西円堂の瓦には、カメの玄武像が載っており、精巧な造りなので、見応えがあります。
法隆寺の見どころ⑤法隆寺地域の仏教建造物
法隆寺がユネスコの世界遺産文化遺産に登録され、その周囲にある寺院も共通遺産として登録されました。中宮寺は世界遺産ではないのですが、併せて紹介します。お時間ある人は、法起寺や法輪寺などにもぜひ足を運んでみてください。
- 中宮寺


世界遺産ではないのですが、法隆寺の東院伽藍の隣にある中宮寺は、聖徳太子が母である母穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后のために建立されました。法隆寺の拝観チケットを見せると、拝観料が割引されます。
飛鳥時代後期に作られ、国宝にも認定されている菩薩半跏思惟像は、モナリザ、スフィンクスと並ぶ世界三大微笑像の一つと言われています。右足を組み、右手の指を頬に触れようとする半跏思惟の美しい姿、気品のある微笑みは、いつまでも吸い込まれるように見つめてしまいます。聖徳太子の妃である橘大郎女が太子の冥福を祈って、死後の世界(天寿国)の様子を釆女らとともに刺繍したことで知られる天寿国曼荼羅繍帳は、現存で日本最古の刺繍となっています。
- 法輪寺
聖徳太子の病気平癒を願って山背大兄王と由義王が建立しました。奈良の8寺院(西大寺・法華寺・海龍王寺・大安寺・法輪寺・聖林寺・長谷寺・室生寺)にいらっしゃる十一面観音を訪ねる「八十八面観音巡礼」の一つが安置されています。
- 法起寺
聖徳太子の臨終の際の遺命を受けた山背大兄が岡本宮から寺に改めました。岡本宮は、聖徳太子が法華経を講説した場所で、法隆寺、四天王寺、中宮寺などと共に、太子御建立七ヵ寺の一つにかぞえられています。現存最古の三重塔の塔も見どころです。
タイミングが合えば見てほしい奈良のイベント
奈良のイベント①若草山焼き
1月の成人式の日の前日に行われます。東大寺の東側にある若草山の山肌が野焼きされ、大花火が打ち上げられます。元々は、春日大社、興福寺、東大寺の境界線争いから始まったと言われています。
奈良のイベント②鹿の角切り(鹿苑)
10月中の土日、祝日に行われます。オス鹿の角による危険防止のために、1672年から行われ、1回に5、6頭ずつ角切り場に入れ、勢子によって取り押さえられ、ノコギリで角を切り落とします。大人(中学生以上):1,000円 こども(小学生):500円で、このイベントの収益は全て「奈良のシカ」の保護活動に活用されます。
奈良のイベント③燈花会(とうかえ)


8月上旬の10日間に開催される奈良の風物詩です。奈良公園一帯にろうそくを灯し、古都奈良に思いを馳せます。暗くなり始めると、ボランティアたちが一つ一つろうそくに火を灯していきます。ライトアップも行われ、出店も出ています。点灯時間19:00〜21:30です。2023年は8月5日(土)〜8月14日(月)に開催予定です。
まとめ
いかがでしたか?奈良県は大阪、京都と一緒に修学旅行に来たことがある、と言う方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。東大寺や奈良公園は行ったことがある方が多いとは思いますが、法隆寺周辺などのお寺も魅力たっぷりです。ならまちは路地を覗くと素敵な空間が広がっており、どこを歩いても楽しめます。足元のマンホールにも鹿がデザインされていて可愛いですよ。また、お抹茶の歴史に関係が深い奈良の街で、日本の文化に触れてみる体験もおすすめです。