最終更新日 2023-01-19
今回ご紹介するホテルは、無印良品直営ホテルであるMUJI HOTEL GINZAです。このホテルは一言でいうと「無印良品に囲まれたステイができる」ということが特徴です。その体験はなんとも心地よい日常で「こんな心地よい日常はもはや非日常〜」という特別感を感じました。
こんなに尖ったホテルだと、宿泊費が心配になりますよね?実は、銀座にあるホテルとしては大変リーズナブルで大人1人1万円を切る日も多いです(繁閑によって金額の上下があります)。銀座の同価格帯ではシンプルなビジネスホテルも多いので、この価格はうれしいですよね。
ではさっそく、MUJI HOTEL GINZAについて詳しく紹介していきます。
記事の目次
MUJI HOTELとは
MUJI HOTELは無印良品が手掛けるホテルで、全世界で3店舗が運営されています(日本1店舗・中国2店舗)。「無印良品がホテル??」って思いますよね。ということで、MUJI HOTELが生まれた背景や思想をウェブページから引用します。
泊まりながら無印良品を楽しんでいただける「MUJI HOTEL」が誕生します。旅や移動は、くらしの一部になりました。旅はいま、非日常から日常に、参加するものからつくるものへと変化しています。MUJI HOTELには、高額で過剰なサービスも、質を削りすぎた殺風景な客室もありません。ちょうどよい価格でよく眠れ、旅先の体と心を整える空間と、宿泊する方と土地を自然とつなげるサービスを用意しました。タオルの手触り、コンセントやスイッチの配置、レストランのメニューの一つひとつが、よい旅の土台でありたいと思います。
そうなんです。MUJI HOTELは無印良品の商品やブランドコンセプトを体験してもらうためのホテルなんです。実は最近の無印良品は家を販売するなど、生活雑貨だけではなくライフスタイルを大きく提案するような事業も展開されています。
ということで、このコンセプトに乗っかり私の記事も「MUJI HOTEL GINZAで無印良品に囲まれた非日常体験をしてきた」というテーマで進めていきます。
MUJI HOTEL GINZAへ行ってみた
MUJI HOTEL GINZAは銀座駅から徒歩約5分で到着します。銀座に詳しい方にとっては、銀座の無印良品ビルの上という言い方のほうが伝わるかもしれません。銀座のショッピング街の中にあり、近くにはAppleStore銀座・松屋銀座・銀座三越など、日本でもトップクラスのお店が密集しています。非常に立地に優れたホテルです。


上の写真をみてもらえるとわかるように、無印良品のストアとMUJI HOTEL GINZAは同一のビルの中にあります。HOTEL直通の出入り口もありますが(写真右側の出入り口)、無印良品ストアを通って6階にあがることもできます。つまり、チェックインの前から無印良品の世界観を感じることができます。無印良品好きにとっては、控えめに言って最高の体験です。
無印良品のストアをどんどん上に行くと、6階がフロントになっています。下記1枚めは5階の写真ですが、普通のストアですよね。このフロアのエスカレーターを上がると、MUJI HOTEL GINZAのフロントに到着です。






3枚めのMUJI HOTELのロゴが入っている壁は石で作られているのがわかると思います。この石はおよそ100年前に敷かれた東京を走る路面電車の敷石が再利用されています。東京の路面電車は、1903年に「品川〜新橋」で開通した東京電気鉄道が始まりです。当時使われていた石がこうやって令和の時代に再利用されているのは、大変感慨深いです。MUJI HOTEL GINZAが単に新しい体験を提供することだけではなく、銀座という伝統のある街を大切にしている姿勢も感じ取れます。
無印良品に囲まれたステイ
ここからは、無印良品に囲まれたステイがいかに楽しい体験であるかをお届けします。
パブリックスペース
6階のフロントには下記のような大きいソファがでむかえてくれ、左手には宿泊者用のレストランである「レストランWA」があります。すべてが木目で統一されているところなど、大いに無印良品感を感じます。写真ではなかなかお伝えが難しいのですが、6階のエレベーターが開いた瞬間に「あぁ無印良品に来たなぁ。このクオリティに宿泊できるのか」と気持ちが高揚します。


フロントのある6階には、自動販売機や喫煙所(※MUJI HOTEL GINZAは客室内全室禁煙)があります。ホテルの自動販売機って、普通の自動販売機のメニューがちょっと割高で売られているイメージありますよね?MUJI HOTEL GINZAではもちろん無印良品の飲料が並んでいます。これは本当に素敵すぎます。チャイ・ミルクティー・各種ルイボスティー・とうもろこし茶などが並んでいます。しかも、販売価格は店頭と同じで90円〜で販売されています。


またその横には、軽食の自動販売機もあります。こちらでは、バウムやプレッツェルといったお菓子系だけでなく、するめシートやミックスナッツなどのおつまみ系もカバーしています。またびっくりしたのが、レトルトカレー・レトルトご飯・ミネストローネなどのご飯系も用意されていました。
ワーケーション目的で宿泊したときなど、夜中になにか食べてリフレッシュしたいときに非常に助かるラインナップです。深夜に野菜スープをのんでもうひと頑張り。そんな使い方もできそうです。
一点注意があるとすれば、MUJI HOTEL GINZAの周辺はコンビニが少ないです。特に24時間営業しているコンビニは2ブロック先までありません(徒歩5分程度)。こういった面でも、6階で手軽に食料や飲料を調達できるのは非常に助かります。ちなみに、1階〜5階の無印良品ストアは夜21時まで営業しているので、筆記用具や新品のノートなど必要な物資があるのであれば21時より前に無印良品ストアで揃えておくのがおすすめです。


ウェルカム体験
次に、チェックイン時に感動した体験がありますので紹介します。チェックインのときにホテルの説明をしていただいたり、鍵をわたしてもらえます。ここまでは普通のホテルと一緒なのですが、プレゼントとして「お守り」型のポーチがいただけます。このポーチの中には、緊急事態用のホイッスル・もしものときの銀座マップが入っています。外出時での災害などのもしもが起こった際の備えですね。こういう宿泊時以外の気遣いをしていただけるホテルは大変珍しく、感動的な体験でした。


しかもこの「もしもマップ」がよくできていて、銀座の地図だけではなく、救急指定病院・交番・フリーWifiスポットの情報などが書かれています。本当に災害が起きたときに役立つ情報が載せられているのはさすがです。また、裏面には指差し会話用のイラストが24個も載せられており、「寒いです」「飲み物がほしいです」などを指差しで伝えることができます。病気や障害で声が出せない方が活用されるだけではなく、日本語がわからない外国人の方にとっても心強い情報であり、ホテルの心遣いを感じることができました。
ホイッスルは、吹いてみると大きな音がなりました。「なんで防災でホイッスル?」と思うのですが、それは自分の居場所を音で知らせることができるようにするためです。災害時には、倒壊した建物の下敷きになったり、エレベーターに閉じ込められるなど、他の人から見えづらいところで救助を待つ状況があります。そんなときに、ずーっと大声を出して救助を求めていると体力を消耗しますよね。ホイッスルであれば体力をそれほど消耗せずに、大きな音を出して自分の存在を知らせることができます。
客室
さていよいよ客室の紹介をしていきます。私が宿泊したのはTYPE Aという最もグレードが低い部屋なので、「最低でもこのレベルのおもてなしがある」という紹介として捉えていただければと思います。客室グレード一覧はMUJI HOTEL GINZAのウェブサイトから確認できます。(https://hotel.muji.com/ginza/ja/rooms/)
入り口のドアを開けると目に入るものはほぼ全て無印良品です。無印良品らしい木目の家具に白の寝具。そしてさりげない薄型テレビ。日常なんだけど非日常という表現がぴったりです。生活感があるようで無い。そんな心地よさを与えてくれる空間です。


ここからは部屋の設備やアメニティを気になった順で紹介していきます。
まずは、ウェルカムスナック・ウェルカムドリンク。旅の疲れを癒やす一品です。旅館では和菓子が置いてあることもありますが、MUJI HOTEL GINZAではなんと無印良品のブールドネージュが用意されていました。これはほっとしますよねぇ。ちなみに、ブールドネージュとはアーモンド入りの生地をまるく焼きあげ、粉糖をまぶして仕上げたお菓子です。フランス語で白い雪の玉という意味です。当日の夜に頂いたのですが、砂糖の甘さとコリコリ感が軽食にはぴったりでした。
そして気が利くなぁと思ったのが、ウェルカムドリンクです。なんと常温のお水だけでなく、冷たいお茶の双方が用意してありました。もちろん無印良品ブランドです。烏龍茶は武夷岩烏龍茶という製品で、中国福建省の茶葉が使われているお茶です。夜にいただきましたが、スッキリとした味わいで家でも常飲したいなぁと思わせる味でした。






次に紹介したいのはナイトウェアです。ホテルや旅館のナイトウェアって、浴衣やバスローブが多いですよね。MUJI HOTEL GINZAでは当然、無印良品のナイトウェアが用意されています。私は夜は短パンとジャージで寝る習慣があるので、無印良品のナイトウェアは初体験でした。
着替えてみると肌触りがよいだけではなく、着心地も快適で非常にリラックスできるものでした。あまりに快適すぎたので、帰り道に無印良品のナイトウェアを購入しました。やっぱり体験してよかったものは欲しくなりますよね。ちなみに無印良品のナイトウェアは上下セットで3000円〜4000円くらいで、お値段が手軽なのもいいですよね。


この章で最後に紹介したいのは、壁掛けスピーカーです。デスクの横に壁掛けスピーカーが設置されており、こちらももちろん無印良品ブランドです。Bluetoothでスマホをつなげてみると、流石に低音はBOSEやSONYほどガンガンくるわけではないですが、プラスチックの筐体がしっかりと鳴っている、そんな可愛さを感じました。
紐を引っ張るとラジオを聞くこともでき、この製品のコンセプトを理解しました。高音質な音楽を鑑賞するのではなく、カフェの雑音の中で流れる有線のように、BGMを空間に溶け込ませる製品なんだなと。音は主役ではなく、あくまでスパイスなんだなと。そうであれば、壁かけで紐で操作するという操作性も納得です。いや、納得というかこれがベストアンサーな形だなとも思います。
音楽の楽しみ方は状況によって変わる。そんなことを教えてくれたスピーカーでした。


いろいろなところを開けると更に!
アメニティや食器類ももちろん無印良品の製品がメインで使われています。ここからはそういった小物類を紹介していきます。
まずは引き出しからです。引き出しを開けると、カップやソーサー、コーヒセットが用意されています。コーヒーこそUCCブランドですが、他の食器類は無印良品のもの(カップとソーサーは磁気シリーズ)です。このような小物に関しても無印良品で整えられていると、まるでていねいな暮らしをしている気分になりますよね。


もう一つの引き出しをあけると、身だしなみグッズがずらり。竹くしや歯ブラシは無印良品では扱っていない製品なのですが、見ていただければわかるように、無印良品っぽいデザインや包装になっています。実は、この竹くしや歯ブラシには秘密があるので紹介していきます。


無印良品で一般に販売されている歯ブラシは、ポリプロピレン製でほとんど白色のものですよね(限定色などでカラーバリエーションがあるかもしれませんが)。しかし、MUJI HOTEL GINZAで用意されている歯ブラシは下記のように竹製の歯ブラシになっています。「わざわざなぜ、一般的に販売されているのポリプロピレン製ではなく、竹の歯ブラシを用意しているんだろう?」って思いますよね。
実はこれ、環境への取り組みの一環なのです。2021年5月から、プラスチック製の歯ブラシではなく、竹製の歯ブラシに切り替わっています。※くしも同様に、2021年12月にプラスチック製から竹製に切り替わっています。


「あれ?プラスチックと竹で環境への負荷ってそんなに変わるの?」って思いますよね。私もはじめそう思いました。気になってよくよく調べたところ、竹は下記の観点で環境に優しく、環境保護の観点から優れた素材であることを理解できました。
- 成長が早い
- 「たけのこのようにすくすく育つ」という表現があるように、竹は非常に成長が早いです。つまり、刈り取っても比較的短期間で元の状態に戻ります。そういう意味で環境へのダメージがすくない植物です。豆知識ですが、竹は植物学的には「木」ではなく「草」に分類されます。こう聞くと、確かに木より草のほうが伸びるの早いのも納得ですよね。
- 農薬や肥料が不要
- 竹を生産にする際には、農薬や大量の肥料が不要であるため、環境に良いとされています。(逆に言うと繁殖力が強い種ということなので、放置された竹林による竹害という言葉もあるのですが…)。ということで、管理された竹林で竹を育てた場合、同様の面積で木を育てるよりも環境負荷が低いです。
このようにMUJI HOTEL GINZAは環境負荷をへらす取り組みを行っています。竹製のアメニティの充実以外には、連泊時のエコ清掃の取り組みが行われています。
連泊のエコ清掃
- 毎日: タオル交換・アメニティ補充・ゴミ回収
- 3日に1回:シーツ、布団カバー、枕カバー交換
このように、MUJI HOTEL GINZAは、良い体験と環境への優しさを両立されているホテルです。
話題が環境への取り組みの話で若干脱線気味になってしまいましたので、アメニティ紹介に戻します。


最後にアロマの紹介をします。お部屋にはアロマディフューザーが完備されおり、チェックイン時にラベンダー・グレープフルーツのアロマをプレゼントしてもらえます。どちらか好きな方をアロマディフューザーにセットして香りを楽しむことができます。私、生まれてきてたくさんホテルにはとまってきましたが、アロマディフューザーがあるホテルはなかなか珍しいので、MUJI HOTEL GINZAにステイされる際はぜひアロマを楽しんでください。
もちろん、アロマディフューザーも無印良品ブランドです。(製品名:超音波うるおいアロマディフューザー)
こんなステイにおすすめ
ここまででMUJI HOTEL GINZAがいかに無印良品に囲まれた非日常空間であるかを紹介してきました。ここからは、無印良品に囲まれているという点だけではなく、総合的な観点からおすすめのステイを紹介します。
予算
といいつつ、本題に入る前にMUJI HOTEL GINZAの価格帯を紹介しておきます。品質が良いナイトウェアや丁寧なおもてなし、アロマのプレゼントなどを紹介したので、高めの価格を想像されている方も多いと思います。しかし、冒頭でも紹介したように、私が宿泊したタイプAのお部屋であれば、
- シンプルステイ:大人1名9,950円〜
- 朝食付きプラン:大人2名で合計21,500円〜
と、1万円前後で宿泊することができます。銀座という立地を考えると、このクラスのホテルとしては安価な部類にはいる価格帯です。
部屋の模様替えを考えている人
では本題のおすすめステイの1つ目を紹介します。まずは、部屋の模様替えを考えていたり、引っ越し直後で部屋インテリアを考えている人におすすめです。お部屋のインテリアって「このブランドで統一したらどんな雰囲気になるのかなー」って悩みますよね。MUJI HOTEL GINZAに一泊すれば、「無印良品ブランドで統一したらこんな感じなのか」をまさに体感できます。


机の上には、無印良品のカタログだけではなく、部屋に設置されている無印良品の商品の一部をその場で発注できる注文書も用意されています。こういった意味でも、無印良品がある暮らしを体験してみたい方には本当におすすめのホテルです。ちなみに私もMUJI HOTEL GINZAに宿泊した数日後に、収納や寝具などを無印良品ブランドに統一しました。やっぱり体験すると欲しくなっちゃいました。
飾らないデートにおすすめ
次は、ある程度仲良くなったカップルにおすすめです。昼間に銀座・有楽町・築地あたりで周辺でデートして、夜はMUJI HOTEL GINZAにステイする。そんなデートコースが目に浮かびます。仲の良いカップルが、ていねいな空間で昼間の疲れを癒やし、翌日も元気に東京で遊ぶコースです。
デートということで超高級ホテルを取るのも一案ですが、まるで自宅のようなMUJI HOTEL GINZAはよりリラックスできる雰囲気があり、ほっこりとした時間を過ごすことができます。「一緒に住んだらどんなインテリアにしようねぇ」といった会話もはずむ空間です。また、ランニングウェアの貸し出しも行われているので、元気なカップルは2人で早朝や夜にランニングにいくのもおすすめです。銀座や日比谷公園といった近場を走るだけではなく、東京駅や丸の内といった観光名所にも走って10分くらいで到着するので、足を伸ばしてみるのもいいでしょう。普段は見逃してしまう銀座や東京駅の姿を楽しむことができます。
一つ注意点ですが、タイプA・タイプBのお部屋は、バスタブがなくシャワーのみのお部屋です。バスタブでゆっくりしたい派の方は、タイプC以上のグレードを選択することをおすすめします。
さいごに
タイトルに「日常なのに非日常」とつけたのですが、その感覚は伝わりましたでしょうか?無印良品ブランドに囲まれた空間は、自宅のようにリラックスできつつも、そのひとつひとつが丁寧であるという非日常な空間でした。
MUJI HOTEL GINZAは、非日常でありながら比較的安価で体感できるホテルですし、なにより日本には銀座にしかないという希少性の高いホテルでもあり、機会があればぜひ宿泊してもらいたいホテルです。