最終更新日 2022-02-25
記事の目次
日本で最も遠い離島「母島」ってどんなところ?


小笠原諸島の一部である母島は、日本で最も遠い離島と言われており、竹芝港から小笠原諸島の父島へ船で24時間、父島から「ははじま丸」で2時間の合計26時間かかります。父島よりも一層自然が豊かな島で、人口は400人程度しかいません。居酒屋などの食事処も少ないため、宿で食事をつけるか、父島から何か食料を持っていくことをおすすめします。母島には、戦跡も多く残っており、ちょっとした散歩で海軍の基地や砲台などを見ることができます。




また、父島に比べて海が近く、クジラも陸上から近いところを通ってくれます。東港というところにはよくクジラの親子が迷い込んでしまうようです。街の近くでは、鮫ヶ崎展望台からもクジラがよく見えます。日没の時間帯に行けば、サンセットとクジラが両方見れるかも!?
母島へのアクセス


「ははじま丸」は、週5回1日2回程度、二見港のおがさわら丸の左から出ます。おがさわら丸の船客待合所とははじま丸の船客待合所は違うので、注意してください。
今回乗船したのは、「ははじま丸」はドック中だったので、「くろしお丸」でした。くろしお丸は八丈島や伊豆大島などの伊豆諸島を運航する伊豆諸島開発の所有する船で、各運航船がドック中の時のピンチヒッターとして使われている船です。


原付バイクなどを持っている人や父島で原付バイクを長期レンタルしている人は、出航時間の1時間前に行ってバイクを母島へ持っていることもできます。原付バイクを持って行くのは安いのでおすすめです。バイクはコンテナに乗せてくれます。


青と白を基調とした船で、雑魚寝できるスペースも広く、綺麗な船でした。食べ物を入れておける冷蔵庫もありました。


冬は結構揺れるので、座席よりも雑魚寝スペースがおすすめです。ただ、父島から母島への区間でも、ザトウクジラのブローやブリーチをよく目撃するので、甲板でホエールウォッチングするのもおすすめです。




ダイビング船の上からもクジラは見えるので、陸用のカメラを持っていくとクジラのジャンプなども激写できるかも!?私は今回600mmのレンズを持っていったのですが、レンズが重たく、船も揺れるので安定感がなく、かなりブレてしまいました。なので、船の上で撮る場合、取り回しのしやすい300mm程度のレンズをおすすめします。
母島の「沖港船客待合所」というところに到着します。船の出航時間にはここでお土産が売られています。




ダイビングでクジラに会えるのは母島だけ?


クジラとシュノーケリングで泳ぐツアーは、沖縄や鹿児島の離島などでありますが、ダイビング中にクジラと遭遇できるのは、小笠原の母島がとても確率が高いことで有名です。シュノーケリングだとクジラを見下げることしかできませんが、ダイビングだと、クジラと同じ目線で泳げたり、頭の上をクジラが雄大に泳いでいく姿は夢があります。父島では、ガイドでも年に3回ほどしか遭遇しないのだとか。
2~3月はザトウクジラの最盛シーズンで、運が良ければ2,3日に一回はダイビング中にクジラに会えるそうです。近日にクジラと出会えたポイントでは、連続してクジラに出会えることもあるんだとか。クジラの通り道なのでしょうか。クジラに会いやすいポイントとしては、「蓬莱根沈船」「万吉場」があります。私は今回両方のポイントで潜りましたが、残念ながらクジラと遭遇することはできませんでした。どうしてもダイビング中に水中クジラを見るには、運よくクジラが通りかかってくれることもありますが、ひたすらクジラが来るのを待つこともあります。母島へクジラ狙いに来るなら、忍耐勝負を覚悟したほうがいいかもしれません。
母島のダイビングショップは一つだけ


母島には、「88」というダイビングショップが一つしかありません。母島の船着き場から出て、右側のビーチの方に歩いていくとあります。カフェとホテルが併設しており、とてもきれいな施設です。店内でも食べられますし、テラス席も充実しています。店内にはお土産コーナーもあり、「88」のオリジナルのTシャツなどのグッズもあります。




イルカと遭遇しやすい早朝ダイブから、サンセットダイブ、ナイトダイブまで希望に合わせて船を出してくれます。船は、いつもは「MOANA」という船なのですが、今回「ははじま丸」だけでなく、「MOANA」もドック中だったようで、「えびす丸」という漁船に乗りました。




船は両方、濡らしたくない荷物を置けるスペースはありますが、雨風をしのげるスペースはほとんどありません。冬のシーズンは、ボートコートなどを持参するのが正解かも。ちなみに、フードベストなどのレンタルはありませんでした。ダイビングのライセンスを持っていない方でも、体験ダイビングをすることができます。体験ダイビングは、ダイビングショップ前にある脇浜ですることが多いのですが、体験ダイビングと舐めてかかってはいけません。母島の海のポテンシャルはとても高く、カンパチやウシバナトビエイの群れ、ユウゼンにも出会える夢のビーチダイビングです。
母島のダイビングスポット


この「88」でダイビングを申し込みました。ダイビング中にクジラに会えるかどうかは、自然まかせ、運任せです。母島の海は透明度もよく、サンゴも手つかずでとてもきれいです。また、ダイビングポイントも、父島に比べてもさらに魚の距離が近く、群れも大きいです。また、沈船のポイントもあり、クジラにもし会えなかったとしても、母島でのダイビングは行ってみる価値があります!母島では、周囲の無人島を含め、48のポイントがありますが、今回わたしが潜ったクジラ狙いのダイビングポイントを紹介します。
母島のダイビングスポット①蓬莱根沈船


母島の最南端に南崎というところがあり、そこから蓬莱根というビーチに行けるのですが、その近くに第二西海丸という船が沈んでいます。深度は20m程度あるので、ダイビングスポットになっています。白い砂地に50m近い沈船が横たわっており、ロマンをくすぐられます。また、魚もたくさんいて、小笠原近海の固有種であるユウゼンやスカシキンチャクダイが住み着いており、とても綺麗です。二色の赤が綺麗なフタイロハナゴイもたくさんいました。近くには、ツバメウオも群れていました。砂地にはチンアナゴもたくさんいるので、どこまで近づけるかチャレンジしてみてください。船体には、たくさんのサンゴがついており、ウミウシもいるので、マクロが好きな方にもおすすめのポイントです。
母島のダイビングスポット②万吉場




万吉場は、アオウミガメがたくさんいるポイントです。綺麗なサンゴでウミガメが休んでいる様子はとても可愛いです。ウミガメが泳いでいる優雅な様子も絵になり、いつまでも追いかけたくなります。青の体に尾が黄色のウメイロモドキの群れも入ってくることがあり、カラフルな魚たちが群れる様子はとても綺麗です。時折カンパチなどの大型の魚が小魚を食べに来ている様子も迫力があります。カスミチョウチョウウオという黄色の体に四角い白の模様が特徴的なチョウチョウウオも可愛いです。サンゴの下を覗くと、ヒレナガヤッコもたくさんいました。
母島のダイビングスポット③アナダイ


アナダイとは、アジアコショウダイのことです。アジアコショウダイがたくさんいるポイントです。アジアコショウダイは小笠原では至る所にいるのですが、唇が特徴的で、スイートリップとも呼ばれていて、愛らしい顔をしています。他にも綺麗な4本の黄色のラインが特徴のヨスジフエダイの群れやノコギリダイ、コガネヤッコ、ササヨ(ミナミイスズミ)などがいます。ミナミイスズミは、黄色の個体がいるのが特徴的です。比較的浅いポイントで、光の入り方が綺麗なので、サンゴと魚と太陽光を取り入れて撮ると綺麗な写真になります。
水中クジラの注意事項
クジラは肉食ではないですし、襲ってくることはないですが、大きな生き物なので、ヒレなどの体にかすっただけで大事故です。あまり近づきすぎないようにすることが自分の身を守るために大切です。また、クジラに会えるのは一瞬なので、岩などでウミウシなどの小さな生き物を探していると、クジラに気付かず、ダイビングを終えた後でクジラを目撃したダイバーたちが興奮ながらに話しているときにさみしい思いをすることになります。視界を広くしてダイビングしましょう。また、小笠原でいかに暖かいといっても、冬は水温が20度を切るので、結構寒いです。なので、ウェットスーツなら六半(6.5mm)以上かドライスーツがおすすめです。
まとめ


今回はクジラに水中で会うことはできませんでしたが、常にクジラの声は聞こえていました。船の周囲ではクジラが続々とクジラの呼吸であるブロー(潮吹き)をあげ、どこにカメラを向けるのがいいのかわからないほどでした。水温も20度以下で冷たく、外気温も寒いですが、クジラが見えている瞬間は寒さも忘れるほどの興奮です。水中でクジラに会うことは簡単ではありませんが、ホエールウォッチングのシーズンに船を出せばほぼ100%の確率でクジラを船の上から見ることはできます。奇跡の水中クジラを狙って日本一遠い離島に行ってみませんか?